外資製薬会社「超簡単テレワーク」の仕掛け

理由や場所は不問、5分単位で申請できる

また、プライベートが豊かになったという実感も得ているようだ。

「『こんなメリットもあるんだな』と思ったのが、子どもを幼稚園に預けている間に、妻と2人でランチに行けること。子どもがいると2人でゆっくり食事する機会はなかなかとれないので」(片伯部氏)

いっぽうマーケティング部では、人によってまちまちのようだ。

「どちらかと言えば会社に来ている人が多いですね。7人のチームのうち3人が活用しており、1人は週3回利用しています。私自身は、たとえば出張帰りで夕方に羽田に着いて、以前なら会社に戻っていたところを、自宅でテレワークにするなど、時間を有効活用するために使っています」(NBIマーケティング本部の平田貴彦氏)

時間効率への意識が強くなった

テレワークを導入したことにより、部下や同僚も時間効率への意識を強く持つようになったという。

「たとえば資料作成にはどうしても時間をかけたくなってしまいます。でも、短い時間でよいものを作らなければならないのが資料というものです。テレワークは『限られた時間で最大の成果を』というのが前提なので、ある程度のところで割り切って、バランスよく時間を使えるようになりました」(平田氏)

右から、平田貴彦氏、髙野美幸氏、片伯部哲也氏、人事部の久野慶太氏(筆者撮影)

自宅などからSkypeで会議に参加する社員も増えたおかげか、会議でのダラダラした会話も少なくなった。以前は会議室が取れているからと、ほかの件を話し合ったりしたこともあったが、現在では「決められた議題が終わればすぐに解散」という雰囲気が浸透した。

そのほか、「集中したい仕事のときはテレワークを申請する」という活用例もある。つまり、オフィスではどうしても、ほかの社員に声をかけられたり、周囲が気になったりして思考が分散してしまう。テレワークでは思考が中断されないので、考えがまとまりやすい。

上記、プラス効果ばかりを紹介してきたが、導入するまでは、マイナスの反応もあったという。

「仕事とプライベートの境目がなくなるのではとか、ほかに優先してやるべきことがあるのでは、といった慎重論もありました」(髙野氏)

というのも、同社はもともと、時間単位有休や完全在宅勤務、部分在宅勤務といった制度自体は整っていたからだ。しかし、その仕組みが浸透しておらず、手続きが煩雑なこともあり、社員には活用されていないのが実態だった。

「私のほか、人事部のなかで立候補した5人のプロジェクトメンバーが中心になり、周囲に『テレワークをやってみましょう』という熱意を伝えていきました」(髙野氏)

次ページ導入の成功要因は…
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