アジアで急成長する、米ティファニーの秘密 注目の海外企業【第3回】
また、リーマンショック後は為替が円高ドル安傾向をたどったことも寄与しているだろう。その結果、2013年は、ティファニーの日本での売り上げは全体の17%にとどまったが、営業利益の29%を日本で稼ぎ出している。
高い在庫水準を支える高い自己資本比率
さて、ティファニーの唯一最大の資産は、「ティファニー(The TIFFANY & CO.)というブランド」である。消費者にとって「ティファニーブランド」とは、高品質なダイヤモンドジュエリーなどの宝飾品を意味していることは言うまでもないが、訓練された店員のサービス、上品な店舗の雰囲気、選ばれた立地条件、しゃれたパッケージなどによって、洗練されたスタイルや情緒を味わうこともまた、「ティファニーブランド」が提供する重要な要素となっている。顧客が心豊かに楽しく買い物できるひとときを提供すること、ティファニーの店舗での買い物を、単にモノを購入するという以上のすばらしい体験にするのが、「ティファニーブランド」の力ということになるだろう。
同社は、ブランド維持のため、ダイヤモンドや宝石の原石の在庫へ多額の投資をすることを方策として掲げている。原材料を十分に保有していれば、仕入れルートが突発的に断たれても、すぐに商品を製作できなくなる事態は避けられ、顧客に安定して商品を提供できる。
実際に、同社の在庫水準は高く、それも上昇している。1993年以来、在庫保有月数は月商の5カ月分前後だったが、リーマンショック後の2009年~13年には6~7カ月分相当となっている。その内容をみると、ダイヤモンドや宝石の原石などの原材料よりも完成品が多い。価格が高く種類の多様な宝飾品を取りそろえて準備しているために、在庫が膨らんでいると考えられる。
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