アジアで急成長する、米ティファニーの秘密 注目の海外企業【第3回】

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ティファニーでは、在庫投資が投資残高全体の過半(63%)を占めている。投資の中心は店舗などの設備投資でも、のれんなどの無形固定資産でもなく、はたまた有価証券などの金融資産でもないのである。在庫を中心とした投資を、自己資本を軸とした調達資金で賄う形だ。有利子負債による調達も行われているが、調達資金に占める自己資本の比率はリーマンショック後も約70%の水準に維持されている。

ティファニーでは、新店舗の積極的な開店はもとより、ネット販売を含めた販売チャネルを増やすなど、商品供給ルートの拡大を図ってきた。それと同時に、それぞれの販売市場において、商品が大量に提供されすぎないこと、すなわち希少価値を失わないことに注力している。高級ブランド品としては当然の方針だろう。そうなると、新しい地域や新しい客層など、これまでティファニーブランドが浸透していなかった市場の開拓が、今後の成長のカギとなる。

児玉 万里子 財務アナリスト

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こだま まりこ

こだま・まりこ■津田塾大学卒業。1978年三國事務所に入社、債券格付けなどに従事し、2009年独立。現在はフリーの財務アナリストとして財務諸表分析、財務戦略、企業評価、信用リスク管理などのコンサルティング業務、講演などを行う。専修大学非常勤講師

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