アジアで急成長する、米ティファニーの秘密 注目の海外企業【第3回】

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ティファニーの扱う宝飾品は4つの種類に分けられる。第1はダイヤモンドを中心にした高級ジュエリー(2013年1月期の平均単価5500ドル)、第2はブライダル関連のジュエリー(同3800ドル)、第3はシルバー・ゴールド製品(同260ドル)、第4はデザイナー名を冠したジュエリー(同490ドル)である。

会社全体では、シルバー・ゴールド製品の売り上げが最も大きく、高級品ながら比較的買いやすい価格のものが中心となっているようだ。売上構成は、内外の販売地域によって異なっており、ちなみに、日本のティファニー店では、他地域と違ってブライダル関連ジュエリーの売り上げのウェイトが高い。

過去25年間の成長率は年平均12%

さて、ティファニーの売り上げは、1988年(1月期)の2.3億ドルから2013年は38億ドルまで伸びてきた。過去25年間で年率平均12%の高い成長を遂げたことになる。海外売上比率が上昇する中で、ドル安が寄与した部分もなかったわけではないが、基本的には同社製品が長年にわたって内外の顧客の支持を集めてきたことを表している。

海外に積極的に進出し、特に日本、そして近年は中国・韓国などのアジア諸国に店舗を開き、海外売り上げを伸ばしてきた。一方、米国内での売り上げも、リーマンショックまではほぼコンスタントに増えていた。ほかの高級ブランド品同様、ティファニーの場合も、海外からの旅行客への販売が大きく、おそらく米国内の店舗でも日本人をはじめとする外国人旅行客向け売り上げが大きかったと考えられる。

ティファニー製品の販売価格は定期的に見直されている。原石コストなどの製品コストの変動、宝飾品の需給の変化、為替レートの変動などを反映させるためである。

実際、ここ数年は販売価格が引き上げられる方向にあった。内外の価格体系をバランスよく維持するためには、外国通貨が安くなったときには、現地販売価格を引き上げねばならないが、顧客は価格の大幅アップを受け入れにくいため、販売価格が十分に引き上げられるとは限らない。したがって、外国通貨が安いときには、利益率に悪影響が出る可能性はあるが、たとえば、為替が円安に向かった1996年から1998年ごろも同社の粗利率は大きく下がってはいない。

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