アジアで急成長する、米ティファニーの秘密 注目の海外企業【第3回】
高級ブランド品といえば、欧州企業が思い浮かぶ。長い伝統を有し、フランスやイタリアで富裕層を顧客としてきた工房や家業が、今日では世界的な高級ブランドとして企業化されている。こうした中で、宝飾品ブランドのティファニーは米国発の高級ブランドだ。そう言えば、欧州色の強いサッカーワールドカップの黄金の優勝トロフィーはイタリアの工房で作られたものだが、米国が仕切っている野球のワールドベースボールクラシックの銀の優勝トロフィーはティファニー製だ。
ブランド運営会社傘下でない、独立したブランド
ティファニーは、ニューヨークに本店を置く、高級宝飾品店(ジュエラー)であり、世界の5大ジュエラーの一角と言われている。創業は1837年と古く、19世紀の半ばには宝飾品を取り扱い始めた。
今日、世界的な高級ブランドの多くは、買収が繰り返された結果、3つの巨大なブランド運営会社の傘下に収められている。フランスのLVMHグループはルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールなど約60ブランド、同じフランスのケリングはグッチやイヴ・サンローランなど約20ブランド、スイスのリシュモンはカルティエ、ダンヒルなど約20ブランドを有する。ティファニーはこうしたブランド運営会社の傘下に入っていない、数少ない独立した高級ブランドのひとつなのだ。
ティファニーは1987年に株式を公開し、財務諸表を含む年次報告書を米国証券取引委員会(SEC)に提出している。同社は1990年代より日本にも進出し、高い利益を上げてきた。日本でもなじみのあるこの会社の事業を、開示資料を基にたどってみよう。
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