ワタクシは「東洋経済オンライン」にも寄稿している木下斉君(「地方創生のリアル」、近日中に連載再開予定)などと共に、地方再生を目指し、日本全国を走り回っているわけですが、相変わらず「地元の既得権者」と言われる人たちと戦うのは、容易なことではありません。
福岡市の恩恵があるのに、なぜか「衰退」する久留米市
ちょうど本記事公開の翌日になりますが、1月21日には福岡県の久留米市というところで市長選が行われます。ここはわれわれも非常に注目している地方都市のひとつで、現在「絶好調」といわれる福岡市から車で30分程度の距離にあります。
福岡市の恩恵に預かり、他の地方都市とは異なって中心部に高層マンションなどが建ち、人口も増えているのに、なぜか町がどんどん「衰退」していくという、とっても不思議な地方都市なのです。それは日本全国どこにでも見られる、いわゆる既得権益にあぐらをかいた勢力が衰退を招いているというまさに「縮図」でありまして、ご多分に漏れず、地方都市にある「墓標」と言われる、不必要な高額公共施設を2016年に建設したばかりであります。
簡単に説明すると、総額180億円弱を投入し、いわゆる「MICE」施設と称して「久留米シティプラザ」というものを作ったのですが、開業からわずかで地元資本のレストランが撤退に追い込まれるなど、まさに「墓標」そのものになっています。
ここでいうMICEとは4つの単語の頭文字をとった造語で、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字をとった単語であり、多くの集客が見込まれるビジネスイベントなどの総称です。木下君の取材によると、ここは「MICE」を積極的に誘致する、と銘を打っているものの、現状ではとても黒字化などできない、という代物です(『ウェッジ』の参考記事 全国各地で大乱立「ゴージャスMICE施設」は必要か?)。
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