「就職のための語学留学」は止めた方がいい 英語はもちろんできたほうがいいが…

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私個人が選ぶのであれば、英語の勉強のためだけに1年留年するか否かについては、リターンを考えるとそのような選択はしません。もっと言うと、1年留学して帰国した際に英語だけしゃべれるようになっていたとしても、それが就職活動における差別化要因にはなりません。英語屋さんは世の中に結構あふれているものです。英語はできればもちろんベターな能力ですし、非常に役には立つのですが、それ単体で十分というわけではありません。

ちなみに、有資格者があふれる現在においては、どんな資格であってももはや単体で十分と言い切れませんから、つねにプラスアルファ部分での差別化を考えるべきなのです。

であるが故に、英語プラス中小企業診断士でビジネスの基礎の勉強を広くしてきました、というアピールのほうがいいでしょうし、ジョンさんのためにもなります。

ちょっと厳しいかもしれませんが、日本で両立させる方法を考える、または留学しつつも通信で診断士の受験対策をする、とかですね。

正直英語をしゃべれるようになる程度ならば日本にいてもできます。私自身もパスポートすら持っていなかった大学3年生の頃には普通に帰国子女組以上にしゃべれるようになっていましたので。

両立はつらいと思われるかもしれませんが、社会に出ると時間はもっとなくなります。いろいろな話を聞いていると、若い社会人のいちばんの後悔は、時間のある学生時代にもっと勉強をしておけばよかった、というものです。時間的猶予のある学生だからこそ、社会に出てからも役に立つ勉強に時間を費やすべきですし、複数勉強の同時並行も可能なはずです。

ジョンさんは現在大学3年生ですから、現在から就職までの期間は、社会に出て活躍をするための準備期間であると考えるべきです。

であれば、英語プラスアルファでジョンさんの就職市場における差別化要素を築くための投資期間と考え、ちょっと背伸びをしてでも英語と診断士受験を両立させるべく動くのもありでしょう。

勉強をして得た知識は一生もの

仮に資格取得がうまくいかなかったとしても、勉強をして得た知識は一生ものですし、なによりも勉強をするというクセをつけることによって、生涯学習の第一歩を踏み出すことが可能です。

英語にせよ、診断士受験で得るであろう知識にしてもビジネスにおいては基礎中の基礎です。そこから先はもっともっと勉強をし続ける必要があります。

一方でそういった基礎知識を学生のうちに身に付けておくことは、ほかの学生たちから一歩先んじることができるという意味において非常に有益です。

ジョンさんが何とか両方の勉強を両立させ、就職市場の中においてご自身の差別化要素を強固なものとし、なりたい職業に就職できることを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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