日本人は世界でどんな笑いの「ネタ」なのか もはや「金持ち」「銭ゲバ」イメージはない

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──一押しのジョークは?

冒頭に収録した「ウソ発見器」はどうだろうか。

(前略)はじめに習近平が装置に座って言った。

「私はいつも考えています。中国だけではなく世界中が豊かになればいいと」

「ビー、ビー、ビー」

次に安倍が装置に座って言った。

「私はいつも考えています。日本と北朝鮮が良き友人になれればいいと」

「ビー、ビー、ビー」

最後にトランプが装置に座って言った。

「私はいつも考えています」

「ビー、ビー、ビー」

トランプ大統領はネタとしてジョークにしやすいので、ツイッターはじめ盛り上がっている。前任のオバマ氏はいじりづらかった。人種的なことになると、ただの差別的なものになってしまうし。そこの線引きは難しい。政治家批判を悪口的にするのではなくて、風刺として笑ってしまおうというのが、世界の大人の良識としてしかるべき形なのだろう。

ジョークにして笑いにするのが大人のマナーでは

──欧米人はジョークに長けている?

新・世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)
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小さいときから、家庭の中でちょっとしたジョークで笑うという文化が身に付いている。最近の日本のSNSを見ていると、毎日大げんかしている。罵詈雑言の醜さを知り、ジョークにして笑いにするのが大人のマナーではないか。

──ジョークの達人になるには。

僕自身、ルーマニアに行くまでピンとこないところがあった。だが、現地で実際に聞くと笑える。日本で聞くものは、はっきりいうと、翻訳が硬くて悪い。笑いはすごく微妙なもので、助詞一つの違いでがらっと変わり、改行一つで笑いにいちばん大事な間ができる。そこまでしっかりこだわって訳すこと、書くことを心掛けている。

欧米ではマナーとして、ジョークが滑っていても、つまんないと言わない。だから言いやすい。日本人は厳しくて、滑っているとか、寒いとか、聞いたことがあるとか、言いがちだ。ジョークを楽しむうえでも、環境や気質の違いがある気がしてならない。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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