──ここ10年でけっこう変化しているのでは。
出てくる日本人像は助演男優賞的なものが多い。ジョークのトリを飾るとか最後の落ちに使われるのではなくて、いわば名脇役であり、安倍(晋三)さんもその1人だ。政治家の落ちは多くがトランプ大統領だったり、習近平主席だったりするが、最近は安倍さんの名前も知られるようになって、けっこうよく出てくる。
SNS(交流サイト)が発達し、ツイッターやフェイスブックでいろんなジョークが世界中で楽しまれているので、新しい情報がそこに込められる。でもジョークは元の形が踏襲され、構成が似る。最初はレーニンだったのがプーチン大統領に代わり、中国では毛沢東だったのが習近平主席に代わる。「独裁者ジョーク」は昔からあり、今や金正恩(キムジョンウン)委員長が期待のルーキー。キャラクターが立ってないとジョークにならないからだ。ジョークは民族的なメンタリティが土台にあり、それが理解できないとわからないことがある。
中国人に取って代わられている面もある
──民族的なメンタリティ?
たとえば、欧州ではポーランド人がまぬけ、スコットランド人がけちといったイメージだが、日本人にはピンとこない。日本人は経済や文化にキャラがあるのでそのジョークになる。ハイテクや高性能の車がらみのイメージで今も出てくる。で、中国の製品がすぐ壊れるのが落ちになる。
もちろん存在感が増している結果、中国人の登場するジョークは増えている。昔はげてもの食いの中国人、自転車好きの中国人といった扱いだったが、最近は金持ちキャラが多い。日本人も過労死や「銭ゲバ」に直結するような登場の仕方から変わってきた。日本の経済力が相対的に小さくなり存在感が薄れ、中国人に取って代わられている面もある。
──日本人についてのポジティブジョークもある?
技術大国だけではなく、アニメや映画、ゲームといった文化的な部分にイメージが膨らんでいる。相対的に経済アニマルというより、いろいろなジャパニーズクールの文化的なものが思い浮かぶというジョークが増えている。ただ世界的には、政治風刺が多い。
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