仕事でミスを連発する人は「トヨタ式」に学べ 原因を知り、共有し、精神論で終わらせない

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製品の組み立てを人間が行う以上、体調が悪ければミスをすることもありますし、機械だって日頃の整備を怠れば故障することもあります。あるいは、協力会社から納品された部品に問題があることも考えられます。

言わば、異常は当然のように起こるだけに大切なのは異常が起こったときにどう対処するかなのです。たとえば、不良が出たときに企業によっては不良品を脇によけておいて、あとで手直しをしますが、トヨタ式では不良が出たときにはすぐに生産ラインを停止して、「なぜ不良が出たのか」をその場で徹底的に調べたうえで、二度と同じような不良が出ないように改善を行います。

これがトヨタ式の「異常」に対する対処法です。ポイントは、

(1)その場ですぐにミスの原因を調べる

(2)二度と同じミスが起きないような改善を行う

の2つになります。

たとえば、不良が出たときに、不良品を脇によけて、そのまま生産を続けたとすれば、たしかに生産そのものは順調に進みますが、不良ができた原因はそのままなので、再び同じ不良が出る可能性がありますし、場合によってはさらに大きな不良につながる恐れもあります。

原因についても「あとで調べよう」と思ったとしても、時間が経ってからでは、「不良が出たそのままの状態」は残されていないため「真の原因」を見つけるのは困難です。結局は、「もっとみんな作業に集中して」「みんなで不良が出ないように気を付けよう」といったたいして役に立たない精神論に終わってしまいます。

これでは不良を完全に防ぐことはできません。だからこそ、トヨタ式は不良が出るといった異常があればすぐに生産ラインを止めて、その場で徹底的に原因を調べるのです。そのうえで改善を行えば、同じ異常は二度と起こらないようにすることができるのです。

「気を付けよう」ではミスの再発は防げない

「初めてのミス」にもこうした厳しさや徹底が必要です。大きなミスであれば、誰でも反省しますし、二度と同じミスをしないために対策を考えようとします。ところが、小さなミスや初めてのミスの場合は「なぜミスが起きたのか」といった原因解明に時間をかけることはなく、「以後、ミスをしないように気を付けます」という対策とは呼べない対策で片づける傾向があります。

しかし、実際には小さなミスにも初めてのミスにも必ず何らかの原因があるはずです。

私の知るA社で顧客に3枚の書類を送るところを1枚違う書類を入れるというミスが起きました。書類を入れる作業を担当したのが新入社員であったため、最初は「作業に慣れていなかったため」ということで片づけようとしました。

「慣れていないんだから仕方がないね、これからはみんなで気を付けようね」という解決策です。

ミスをしたとき、しばしば使われるのが「これからは気を付けようね」です。たしかにどんな仕事にも「気を付ける」ことは必要ですが、どれほど気を付けたとしてもミスは起こるものです。

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