仕事でミスを連発する人は「トヨタ式」に学べ

原因を知り、共有し、精神論で終わらせない

そこで、ゴミゼロ推進委員会のメンバーは分別用ボックスの中身を点検、間違って捨てられたものの写真をとり、写真と一緒に「これはこちらのボックスへ」と貼り出すようにしました。

みんなが間違える度に、間違いやすいものを「見える化」して、もし迷ったときはその写真を見ればすぐにわかるようにしたのです。

最初はそれでも「面倒だから」と適当な捨て方をする人もいましたが、毎日、根気よく続けていくうちにみんなの「ゴミゼロ」への理解も深まり、ほとんど間違いはなくなりました。それでも迷うときには新たに設置した「?ボックス」に捨ててもらい、同じように「見える化」を続けることにしました。

ミス再発防止ノートに文字で書くだけでは不安のある人や、あるいは書いたにもかかわらず同じようなミスを繰り返す場合は、自分のミスを「見える化」することをおすすめします。

たとえば、「書類の日付を間違えた」「書類の宛名を書き間違えた」「見積書の計算ミスをした」といったミスを「見える化」しておけば、自分なりのマニュアルにもなりますし、一種のチェックシートにもなります。

大切なのは小さなミスや初めてのミスであっても、「うっかりしていた、これからは気を付けよう」の一言で片づけないことです。ミスの原因を調べて、対策を考え、時には自分のミスを「見える化」するといった作業を丹念に繰り返すことでミスは着実にゼロに近づけていくことができるのです。

「失敗のレポート」で失敗をみんなの共有財産にする

ミスをどのようにとらえ、ミスにどう向き合うかによって企業のありようは大きく変わってきます。ミスを許さず、ミスをした人の責任を厳しく追及するだけで、ミスを活かそうとしない企業では、ミスをする恐れのある新たな挑戦をしようとする人が現れることはありません。

一方、トヨタ自動車という企業の特徴は「ミスは仕事の質を向上させるチャンス」と前向きにとらえ、たとえ大きな失敗をした社員に対しても「失敗の記録」をつけることで当人だけでなく、みんながその失敗から教訓を得るところにあります。

そこにあるのは、「ミスはより良いものをつくるためのチャンス」であり、「ミスは社員にとっての成長のチャンス」という考え方です。

あるとき、若いトヨタマンAさんが部品開発のために必要な機械をアメリカの工作機械メーカーに注文しました。今と違ってインターネットなどない時代ですから、情報収集にも限界がありました。正式な稟議を経ての注文でしたが、いざ機械を使い始めてみると、いくつもの問題が見つかりました。

改良にはさらなる費用と時間がかかります。上司からは「お前が何とかしろ」と突き放されたAさんは仕方なく、当時、開発部門の責任者で後にトヨタの社長、会長を務めた豊田英二さん(2013年没)のところに謝罪に行きました。

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