仕事でミスを連発する人は「トヨタ式」に学べ

原因を知り、共有し、精神論で終わらせない

Aさんは英二さんから「それで、その実験の理屈はわかったか?」と聞かれ、「わかりました」と答えると、英二さんは「わかればいい。その失敗はお前の勉強代だ」と言って、決して叱ることはありませんでした。

準備をした結果、挑戦した結果の失敗は許されます。ただし、勉強代は「1人」ではなく、「みんな」のものであることが必要でした。英二さんはこう言っています。

「社内では、失敗してもいいから思い切ってやれと言っている。そして、その失敗のレポートを書いておけと言っている。それを書かないで、ただ覚えているだけだと次の世代まで伝わらないからだ」

たとえ小さな失敗でも、二度と同じ失敗を繰り返さないように、失敗の理由と対策を書類に書いてみんなが共有できるようにするのがトヨタのやり方です。そうすれば、失敗した当人にとって成長の糧になるだけでなく、みんなが同じような失敗を避けることができるし、みんなが失敗を糧に成長できるのです。

3つの姿勢で臨む

ミスや失敗に対しては、次の3つの姿勢で臨むのが肝要と私は考えています。

(1)ミスや失敗をしたときは責任追及よりも原因追究を重視する

(2)ミスや失敗を隠すのではなくみんなに見えるようにする

(3)ミスや失敗に対して「気を付けろ」ではなく、「ミスや失敗をしたくてもできないほどの改善」を行う

案外難しいのが2番目の「みんなに見えるようにする」です。

特に大きなミスのときと、同じミスを何度も繰り返したときは上司やお客さまからの厳しい叱責を恐れて、ついミスを隠したいという気持ちになりがちです。

ミスをすると、「あいつは使えない奴だ」「またミスをして本当に仕事ができない困りものだ」という烙印を押されることがあります。仕事をするうえで上司やお客さまにこうした烙印を押されてしまうと、その後の仕事にも大きく影響します。

そのため「できればミスを隠したい」と考える人が少なくありませんが、ミスは「隠すと何倍にもなって跳ね返ってくる」ものです。信頼を失いたくないつもりが、かえって信頼を失う結果を招くのです。

そればかりかミスが起きて「すぐに」上司に報告していれば事なきを得ていたはずのものが、あとになってミスがわかり、そのときにはもはやできることがないという最悪の事態を招くこともあります。

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