「失った乳房」はここまでキレイに再建できる 乳がんの手術と同時に再建することも

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川崎:私の場合は、同じ病院内で、がんを摘出する外科の先生と、乳房を再建する形成の先生が連携を取ってくれました。

:そういう病院はすごく少ないので、患者さんはよほど調べないとわからないんですよ。乳がん患者が最も多い50代からそれ以上になるとインターネットが苦手だという方も増えますから、情報源は新聞や医療ムックなどに限られます。もっとテレビなどで広まればいいんですが。

「再建はぜいたく」と考える人も

川崎 貴子(かわさき たかこ)/1972年生まれ。埼玉県出身。リントス代表取締役。1997年にジョヤンテを設立後、女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を展開。女性誌での執筆活動や講演多数。現在はninoya取締役、およびベランダ取締役として、共働き推奨の婚活サイト「キャリ婚」を立ち上げ、婚活結社「魔女のサバト」も主宰。「女性マネジメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る(撮影:尾形文繁)

川崎:私も最初に検査したクリニックでは、外科手術ができるところの紹介ばかりで、再建については全然。まず、がんを取ることが先決だから当然なんですが。

:年配の方の中には「再建はぜいたくだ」という意識がハードルになっている方もいますね。保険が適用されるとはいえおカネがかかるし、何回か手術しなければならないので。本来はQOLを高めるために必要なことなんですが。

川崎:生死に関わらないと二の次になってしまうんでしょうね。私は友人が書いた乳がんの闘病記(土屋美樹著『はじめての乳がん』)を読んで同時に再建できることを知っていたけれど、そうでなければ、外科手術が終わって、形成できる病院を調べて……ああ、気が遠くなるな。

:再建はガッツがいりますよね。やはり同時にスタートするのが、モチベーションを保ちやすい。同時のほうが、エキスパンダーを入れる分の手術が1回減らせますし、スタートが早い分できあがりも早い。

同時再建には2パターンあり、1つは、川崎さんのようにエキスパンダーを入れて、6カ月後以降にインプラントを入れる方法。もう1つは、がん摘出手術から再建手術まで一度に終わらせてしまう方法です。がん摘出してお腹などの組織を移植する。手術は1回で済みますが10時間以上かかる大掛かりな手術です。

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