「失った乳房」はここまでキレイに再建できる 乳がんの手術と同時に再建することも

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再建のメリットは、下着や洋服が着やすい、気兼ねなく温泉や旅行に行ける。そして、やはり心の問題です。自分は欠けている、隠さなければいけないという気持ちがなくなり、自信が戻った、前向きになったという方が多いですね。

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川崎:私はそもそも貧乳だったので、あまり思い入れがなかったというか。また、半年以上付き合うと慣れてしまって「乳首なしおっぱいのほうがおもしくね?」という感じだったのですが、できあがってみて改めて「やっぱりあった方がいい」「なんかしっくりくる」に変わったんですね。

慣れたと思い込んでいたけれど、「こっち側は乳首がないって、どこかで脳は意識してたんだな」と気づいた。「我がおっぱいに未練なし」と言っている私ですらそうなので、おっぱいっておもしろい場所ですよね。

:こだわりの程度はそれぞれですが、それぞれの理由があっていいと思いますね。

――全摘出だと再発率はかなり下がりますか。

:局所再発の確率は低くなります。ただ、転移は、全摘・温存関係なくあるので気をつけなければなりません。川崎さんのように術後のホルモン療法を受けている方は、3カ月に1度程度通院が続きますし、そうでない方も半年に1度、1年に1度の検査が10年ほど続きます。反対側の検診も。

日本の乳がん検診率は2、3割程度

川崎:今、乳腺外来、めちゃめちゃ混んでいますよ。いいことですが。

:乳がんの患者さんは増えているので。自分でしこりを見つけた方は大学病院にいきなり行かず、近くのクリニックでまず検査したほうがいいですね。それから、年に1度は検診も受けましょう。日本は検診率が2、3割程度とまだ低い。北欧だと80%以上検診しているんですが。

川崎:この検診率の低さは意外です。私の会社では、30歳以上はみんなに義務付けました。ただ、私自身がここ3年ほど本当に忙しすぎて、検査の時間は無駄に思えてしまって……。たまたまステージ2で済んでましたけど。転移していたかも、もっと進行していたかもと思うと、検査の大切さが身に染みました。本当に、みなさんに検査してほしいと思います。

安楽 由紀子 フリーランスライター

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あんらく ゆきこ / Yukiko Anraku

1973年、千葉県生まれ。国際基督教大学卒業後、編集プロダクションを経てフリーに。芸能人、スポーツ選手、企業家へのインタビューを多数行う。

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