(第13回)絶対大丈夫な会社選びではなく、絶対後悔しない就職活動をしよう

●OB・OG訪問は「絶対に後悔しない」企業を見つけるために行うもの

 自分だけは、うちの会社だけは、絶対に大丈夫という根拠のない自信ほど怖いものはない。バブル崩壊を経験した日本人はそのことについてはよく知っているはずだ。では、就職活動において「絶対に大丈夫」という根拠なき自信を、根拠がともなう自信にするにはどうすればいいのか。

 そのたった一つの方法は「絶対に大丈夫という言葉」を「絶対に後悔はしない」という言葉に自分の価値観をもって置き換えることでしか残念ながら実現できない。
 就職活動では受け身になっていると、90%は耳触りがいい情報しか入ってこない。
 つまり、マイナスの情報である「うちの会社はここが良くない」「この点を改善しないといけない」「ライバル会社に比べてここが弱点だ」という情報は受け身でいては入手が難しい。

 そして、「絶対に後悔しない」という価値観に転換するために必要な「これからどうしていくのか」「これからこうしていかなければならない」というマイナスをプラスにしようとする情報を聞きださなければ、納得はおろか「後悔しない」という判断など下すことなどできはしない。
 あなたにとって「いい話」ばかりで判断してしまうと、「悪い話」が出てきたとき、あなたはその会社についてどう思うだろうか。おそらく多くの人は「騙された」と思うはずだ。

 OB・OG訪問をはじめとするリアルなコミュニケーションは、そのような判断材料となるマイナス情報を聞く機会、つまり自分なりにできるリスクヘッジのひとつなのだ。
 OB・OGには、ミスマッチを防ぎたいために「いいところも悪いところも包み隠さず学生に伝えてほしい」と指示を出している企業も多く、自分の価値観をマッチング(すり合わせる)する機会としては最高のものだ。

 また、受けている会社のことだけではなく、他社の評判などを聞くことも、あなたの努力次第で可能だ。しかし、そのためには他社に対する質問を単なる興味本位として捉えられないように、事前に「なぜ他社のことも聞きたいのか」という理論構築をしておくことは忘れないことだ。
 よく言われる自己分析については、走りながら取り組むくらいに考えて(軽視してもいいといっているわけではない)、年内の3カ月間は視野を広げ、社会人とのコミュニケーション機会をできる限り持つことを最優先してほしい。
◆ ◇ ◆
 さて、今回で13回目となった「やさしくない就職塾」だが、就職活動が本格シーズンを迎える10月以降、この連載を担当する講師を交代させていただくことになった。
 次回以降の連載は複数の大学で実践的なキャリア教育を行う傍ら、多くの就職イベントなどでも基調講演を行うなど、学生・大学関係者はもとより、就職関係の業界にも熱烈なファンを持つ菊池信一氏にご担当をお願いする。
 第2回目の4月2日の連載から今回まで、およそ半年にわたり、採用担当者の目線からの連載をお届けしてきた。
 なかには厳しすぎる表現や学生向きではない話もあったと思うが、そこはご容赦いただきたく思う。
 この連載でお届けした何かが皆さんの就職活動に少しでも役立てばこれ以上の喜びはありません。本当にありがとうございました。
八木政司(やぎ・まさし)
採用プロドットコム株式会社 企画制作部 シニアディレクター
1988年関西学院大経済学部卒。大手就職情報会社で営業、企画部門で主にメーカーの採用戦略をサポート。その後、全国の自治体の地域振興に関る各種施策や計画書の策定業務に携わり、2000年から再び企業の採用支援業務に取り組む。08年4月より現職。
採用プロドットコム株式会社 https://saiyopro.com/
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