“夢の治療法"再生医療は、「産業」に育つか 17年目の黒字が見えた、J-TEC小澤洋介社長に聞く

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――再生医療を成長戦略にするには、薬事法などの規制の問題もありますが、財源問題が大きいですね。

薬事法を変えるだけではダメで、財源という出口の議論が必要だ。医療財源が限られている中では、自己負担率にある程度のグラデーションをつけていかないと無理だと思う。今は、患者にとっての選択肢が3割負担と、高額医療費制度の1%負担しかない。これではいずれ財源はパンクしてしまう。ただ、国として再生医療を強化するとしているが、さまざまな治療法がある中で、財源の奪い合いになる。その点はたいへんハードルが高い問題だ。だが、承認を取ったけれど、保険がつかない、では事業化はできない。

――自家培養軟骨「ジャック」の承認で黒字化が見えてきました。

ジャックは4月に保険収載が決まり、150施設が条件を満たしており、「ジェイス」より条件が厳しくない。対象市場も「ジェイス」は10億~30億円、「ジャック」は数百億円規模だ。当社はようやく2016年3月期に、17年目にして1億0500万円の黒字に浮上する。これも前倒しするつもりです。

「再生医療の産業化」を掲げ、開発から販売まで

――なぜ、J-TECだけが、再生医療で2つの製品の事業化ができたのでしょうか。潰れた会社や先の見えない会社も多いですが。

われわれは、創業の理念として「再生医療の産業化」を掲げている。

R&Dだけでは承認は取れない。わが社はバイオベンチャーの中では唯一、工場を持っている会社。0歳から99歳の皮膚まで培養した。最終製品にするための承認は、科学だけでなく培養の技術、生きた細胞を安定して全国に運ぶための物流、さらに、医療機関向けのトレーニングマニュアルなどすべてそろっていないと、取れない。

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