現行税制の問題点は、「支出税」で解決できる

読み切り小説:理想の税制

人類の滅亡まで20年といわれたら…?(写真:Bobboz / PIXTA)
【キーワード】支出税

個々人の消費支出を課税ベースとする税制度。間接税である消費税とは異なり直接税であり、累進税率の適用が想定される。現行税制の問題点を解決できる理想の税として古くから経済学者らによって提唱されているが、個人の消費額の正確な把握は困難であるなどの執行上の問題があり、現在までに採用された事例はない。

【この小説のあらすじ】

理想の税制を導入するという夢を果たせず世を去った父は、その想いを手紙にしたため4人の子どもたちに託した。子どもたちはそれぞれ父から与えられた大掛かりな計画を実行してゆく……理想の税制への思いは時空を超えて……

人々はテレビを見て戦慄した

――20年後に小惑星が地球に衝突し、人類は滅亡する

この衝撃的なニュースが地球を駆け巡ったのが5年前。

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人々は絶望したが、それはいっときのことだった。誰かが「20年もあれば軌道は変わる。衝突の可能性が100%のはずはない」と言うと、人々はその説を信じようとし、各国の観測者が衝突の確率は高くないと主張し始めると、人々の恐怖は和らいだ。

ところがある日の朝、人々はテレビを見て戦慄した。

神妙な面持ちの総理大臣が真っ直ぐにこちらを見つめ、小惑星が地球に衝突する確率は99.99%と述べたのだ。総理大臣は平時と変わらぬ冷静な行動を国民に求め、小惑星衝突が自分の責任であるかのうように、深々と頭を下げた。

人々は泣き、叫び、暴れ、破壊した。多くの人が働くことをやめ、生産も流通も滞り、経済が大混乱に陥った。

ただ、経済の混乱はまもなく収束した。人類の滅亡まで20年しかないが、20年もあるということもできる。やけくそになって生きるには20年は長い、と人々は気づいたのである。生産も流通も戻り、経済は回復した。

そうして5年が経った。いずれ人々は滅亡の日を再び意識し始めるだろうが、いまのところは心に平穏を保ち、日々を過ごしている。

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