横浜ゴムが学んだ、ローカル人材活用法 ストライキという危機を乗り越え、V字回復

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工場がひとつになっていくことを実感

統合によって旧YTVCで働いていた従業員の7割強がYTVIに移ってきたことで、給与差の改善が必要になった。しかし、その問題以前に、YTVIで採用した若い従業員の給料水準がVSIP工業団地に入居する他企業との比較において低かったことが不満の底流に横たわっていることもわかった。

VSIP工業団地のあるビンズン省Thuan An地区の最低法定賃金(2013年1月時)は月235万ドン(約113ドル)で、YTVIの月給はこれを下回ることはなかったが、黒字化するまでは人件費を圧縮するという方針で給与水準を低めに設定していた。この点を衝かれてストライキになってしまったようだ。

YTVIには1年未満の従業員が6割ほどいる。もともと給料水準が低いところに昇給率が5%とか15%であっても、あまり魅力がなく、辞めてしまうケースが多かった。そこで、2013年1月、一気に昇給率の大幅引き上げを実施することになった。

「半年間の全員面談と組合の刷新で、工場が日に日にひとつになっていく実感を得ました。毎日毎日顔見知りが増えていき、現場で顔を合わせると必ずあいさつしてくれます。辞めてほしくないと思う優秀な人材には50%とか70%とかの高い昇給を実現させました。私の権限として許された“神の手”ですね」(小林氏)。

こうした相次ぐ改善策で、YTVIの中のスタッフ職の給与水準は、VSIP工業団地の中でも上位にランクされるまでになった。

いちばん難しいのは、人事評価の方法である。評価の最上位は「Excellent」、最下位は「Not Good」の5段階。査定には50項目くらい設定するが、スタッフ部門と現場のワーカークラスではその査定項目に違いを持たせている。管理職には管理職用の査定項目を作成している。

現場のワーカーは作業能率や目標達成など査定に必要な要素は数値化しやすいが、スタッフ部門の日常作業や管理職の指導能力などは、その成果が直接表に出にくい。

「YTVIでは毎週英語でManagement Meetingを実施していますが、スタッフの実力は発表の仕方を見れば大抵のことはわかります。実行力を伴った発表なのか、それとも口先だけの発表なのか。見抜く側の責任も大きい」(小林氏)。

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