中国で工場閉鎖命令 セメント業界の曲がり角

生産引き締めと環境規制強化で工場閉鎖の矢面に

東北復興の本格化に都市部での建設ラッシュが加わり、バブル当時の勢いを取り戻した感もあるセメント業界。だが、好事魔多し。その裏側で、中長期戦略の見直しを迫られかねない事態が起きていた。

国内最大手の太平洋セメントが8月15日に出した1枚のニュースリリース。同社の海外子会社が「閉鎖候補の1社としてリストに載ったことを確認している」と記されていた。

この海外子会社とは、太平洋セメント(旧小野田セメント)が1993年に現地企業との合弁で中国江蘇省の南京に設立した「江南小野田水泥有限公司」。同社は、南京市から2014年末までに原料の採掘を停止し、工場を閉鎖するよう迫られている。

南京市は今年5月、15年までに二酸化硫黄排出量を10年比で18.81%減らすなど、主要な大気汚染物質の排出を大幅に削減する方針を打ち出した。具体策として、生産性の劣るセメント工場や製鉄所を中心に生産能力を削減させるとし、工場閉鎖や設備廃棄の対象となる工場のリストを公表した。

ここで名指しされた約200社のうち、唯一の日系企業が江南小野田だった。太平洋セメントは命令の全面撤回を求めており、市内で発生した廃棄物を工場が受け入れることを提案するなど、巻き返しに懸命だ。

江南小野田が汚染源として名指しされたのは今回が初めてではない。10年9月に南京市が出した環境改善計画の通知の中に、同社の名前が載った。江南小野田は同年末に市政府関係者を対象に環境事業説明会を開き、工場の操業継続に向けて活動を続けてきた。だが、南京市の方針が変わることはなかった。むしろ、今回の命令で閉鎖期限が明確に示されたことで、江南小野田に対する包囲網は一段と狭まった印象だ。

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