「言い訳が多い中国人」の心理学 むしろとてもグローバルなその思考と行動

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 日本の製品は、高い品質を誇りながら、中国マーケットにうまく食い込めていない。その最大の理由は、ブランド戦略の甘さにある。この連載では、北京電通に7年駐在し、グローバル企業のブランド戦略のコンサルティングを手掛ける著者が、中国人の心を掴むためのブランド創りを解説。教科書的なブランド論ではなく、ビジネスの現場で起きている事実をベースに、実践的なブランド戦略を発信する。

『反省しないアメリカ人をあつかう方法』

中国で仕事をしていれば、当然、自社内もクライアントも中国人だらけです。彼らの思考回路や行動様式は日本人とはかなり異なりますから、その特質をいち早く見抜いてマネジメントやクライアントサービスのやり方を変えていく必要があります。しかし、実際問題、中国人はなかなか手ごわく、一筋縄ではいきません。私たちにとっての「当たり前」が通用しないケースが多いので、フラストレーションを感じる日本人は多いと思います。

特に、隣国としての気安さから、中国人を日本人の延長線上で見てしまうと痛い目に遭います。私は常日頃から、中国の大都市で働く若いホワイトカラー層の考え方や行動はアメリカ人によく似ていると感じています。たとえば、自我がよく確立していて自己中心的な反面、家族と友人は大切にします。また、こらえ性がなく、嫌なことがあるとすぐ会社を辞めてしまいます。プライドが高く、人前で叱責されることを極端に嫌がります。

さらに、プラス面を挙げると、「物おじしない、尻込みしない」「人前で堂々としゃべる」「現場で何とかしのぎ切る馬力がある」「人脈の使い方がうまい」。一方、マイナス面では、「時間にルーズ」「気配りできない」「人のせいにする」「できないことでもできると言う」「計画性がない」「人と協力し合わない」などといった特徴があります。

日本人にとって異質でやっかいな外国人と、グローバル組織の中で上手にコラボするにはどうしたらよいのでしょうか? 参考になるのが、ちょうど10年前の2003年に出版されたビジネス書、『反省しないアメリカ人をあつかう方法』(ロッシェル・カップ著、株式会社アルク)です。その頃、東京で働いていた私は、初めてアメリカ人とインド人の部下を持ちました。彼らを上手に動機づけして能力を発揮してもらえるよう、にわか勉強のためタイトルに魅かれて購入しました。

アメリカ人には気をつけろ!

この本は、アメリカ人経営コンサルタントである著者が、日本企業へのコンサルティング経験をベースに書いた「アメリカ人を知らない日本人がアメリカ人を管理する方法論」なのですが、同時に、たいへん優れた日米の比較文化論となっています。職場における一般的なアメリカ人の価値観と行動原理を、アメリカ人自身が日本人向けに解説してくれているので、説得力も抜群です。

その第1章「アメリカ人には気をつけろ!」では、アメリカ人と一緒に仕事をする日本人がストレスを感じるポイントが、以下のようにまとめられています。

(1)文句の多いアメリカ人、(2)反省しないアメリカ人、(3)褒められたいアメリカ人、(4)がまんできないアメリカ人、(5)締め切りを守らないアメリカ人、(6)権威に弱いアメリカ人、(7)批判に弱いアメリカ人、(8)おしゃべりなアメリカ人、(9)秘密主義のアメリカ人、(10)「ノー・プロブレム」と言うアメリカ人、(11)「can do」と言うアメリカ人、(12)「That’s not my job!」と言うアメリカ人、(13)残業しないアメリカ人、(14)他部署からの依頼を軽んじるアメリカ人、(15)同じ失敗を繰り返すアメリカ人、(16)注文の多いアメリカ人。

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