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「養老孟司の新書」がどれも売れる5つの理由 どうして5作連続で10万部を超えられたのか

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もう1つ別の例を見てみよう。2011年の東日本大震災直後に刊行された『復興の精神』は、多くの識者が震災後の生き方、日本社会のあり方を示した1冊。この中で、震災直後、まだ1カ月も経たない段階で養老氏は次のような文章を寄せている。

「今回の事故から、他の原発ですぐに活かせる教訓はいくらでも学べるはずです。

そこで気をつけないといけないのは、糾弾をやりすぎることです。これだけの被害が出ているから、責任は問われてしかるべきですが、過度になると、関係者が正直に報告をしなくなる可能性があります。すると結果的に教訓を得にくくなります」

事態はここで恐れていたとおりに進んだといえるのではないだろうか。

本全体が明るいトーン

売れる理由④ 前向きになれる楽観主義

当然のことながら思想書や哲学書の類は、必ずしもハッピーエンドを保証しない。むしろ悩みが深まることだって珍しくない。

しかし、養老氏の場合、基本的には本全体を明るいトーンが覆っている。これは『バカの壁』から『遺言。』まで一貫している点だ。読後は前向きになれることが保証されているといってもいいだろう。

また、普段何となく「おかしい」「もやもやする」と思っている事柄を論理的に説明してもらうことですっきりするのも、読後感のよさにつながっている。実際にそうした声は養老氏のもとにもよく届いている。

「おかげで楽になりましたとか、安心しましたといってくださる読者がいる。そういう人が増えれば、著者としては本望である」(『超バカの壁』)

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【5つ目の理由は?】

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