<グローバルエリートの講評>
最終回の第4回は、グローバルエリートとローカルエリートの違いなどに関し城さんと議論したが、印象に残っているのは城さんが“会社での出世は運が大きい”と強調されていた点だ。
これは運の定義によって変わってくると思うのだが、私は自分がやりたい上、向いている仕事を探して他人に勝てる分野で戦い、120%の仕事をして、そのパフォーマンスをプロアクティブにコミニュケーションしていくことで出世が早まるのを目にしてきた。しかし伝統的な国内の大企業だと上司の腹一つできまってしまい、また頑張ってもその努力が報われない横並びの体質だったのがこの世界観の違いに反映されているのだろうか。
なお“運”の定義を、自分が向いている仕事にありつけるか、自分と気の合う上司と巡り合えるか、自分がモチベーションを感じる仕事を見つけられるか、という範囲にまで広げるなら、運が出世を大きく左右するというのには同意である。ただし運はある程度、自分でマネッジできると思ってはいるが。
また、黙ってお天道様が見てくれるのを待つモデルの企業文化なのか、それとも自分のパフォーマンスを明確にコミュニケーションしてアピールしなければいけない社内文化なのかの違いを把握して、うまく立ち振る舞わなければならない。
なお最も重要なのは、何を決めるにしても多くの選択肢と、それらから選択する確固たる基準を自分で持っておかなければならないということである。私は”向いている人”には、選択肢を増やすために海外に出てグローバルにオプションを増やすことをお勧めするが、それが向いていない人も確かにいるので、その場合は国内でどのようにオプションを増やせるか考えよう。最悪なのがほかの選択肢を持つ努力をせずに、会社の言いなりになって、最後に切られて露頭に迷うパターンである。
Cultural Sensitivityを磨け
なお最後にグローバルエリートとローカルエリートの違いで重要なポイントだが、城さんは双方で本質的に求められるものは同じはずとおっしゃられたが、総じてそれに賛成するわけだが、大きな違いは“Cultural sensitivity”である。
数十カ国から違う文化・言語で育った人達が集まる中で一緒に仕事をするとき、日本という同質性の強い文化圏の“空気を読む文化”で“あ・うんの呼吸”求め、本音と建前の違いを想像してくれることを期待するやり方では、驚くほど相手に真意が伝わっていないことが多いのだ。
また知らず知らず他国の、多文化で育った人に対してのタブーを犯してしまっていることもしばしばある。そんなことでは多様なバックグラウンドの人々と信頼関係を築くことはかなわず、社内政治以前の段階でグローバル企業ではぽつんと浮いてしまうことだろう。
今回は4回にわたって、私が尊敬する城繁幸さんと40代のキャリアに関して対談してきたわけだが、城さんがおっしゃるように“運”がキャリアを左右することもたいへん多いので、「貴方がブラック人材だったとしてもホワイト人材だったとしても、“いつ運悪く解雇されるかわからないのだから、出される前に出れるオプションを増やしておこう”というのを締めくくりの一言として、この対談シリーズを終えさせていただきたい。
そして最後に、長文をお読みいただき、ありがとうございました。
(撮影:梅谷秀司)
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