任天堂スイッチ、大ヒット商品開発の舞台裏 Wii Uのリベンジ、開発者が明かしたこだわり

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――開発で苦労したのは、どのようなことだったか。

小泉:とにかく”バランス”との戦いだった。ゲームソフトの開発者からすると、いいメモリやGPU(画像処理を行う半導体)を採用して、とにかくハイスペックのハードにしてほしいという要望が強くある。私自身もソフト開発者であるため、そうしたい気持ちはあった。

高橋氏(右)と小泉氏(左)はさまざまな開発の苦労を語ってくれた(撮影:梅谷秀司)

一方、外に持ち出すためには軽くて小さく、かっこいいデザインでなければならない。バッテリーの持続時間や価格を考慮する必要もあった。さらに開発期間にも限りがあるし、社内の開発リソースも有限。そのすべてが複雑に絡み合う中で、どう全体のバランスをとるかがいちばんの難所だった。

高橋:最適なバランスを探るにあたり、今回の開発ではこれまで以上にハードのチームとソフトのチームが密接に意見を出し合った。目指したのは、ローンチタイトル(本体と同時に発売されるソフト)である『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を快適に遊べるゲーム機だ。

ジョイコンも数多くの試作品を作った

――どれくらい試作品を作ったのか。

小泉:覚えてないですね。試作品にナンバリングし出すと大変なことになるので数えなかった(笑)。

高橋:僕が実際に見ただけでも5つぐらいある。

小泉:ジョイコンを本体へ取り付ける方法だけでも何種類も試しました。最終的には、本体に付いているレールにスライドさせるという方式に落ち着いたが、試作段階では磁石でくっつけたり、皿状の部品の上に乗せたりとさまざまなやり方を試した。

――『ゼルダ』や『スプラトゥーン2』、『スーパーマリオ オデッセイ』などの有力タイトルを次々に投入したことが、スイッチ本体の販売を押し上げている。ソフト開発はどう進めたのか。

「スーパーマリオ オデッセイ」など、スイッチのヒットは有力タイトルに支えられている(撮影:梅谷秀司)

小泉:本体のバランス調整と並行して開発を進めた。今回よかったのは、2013年にソフト開発組織を統合していたこと。据え置き機向けソフトを作る部署と携帯機向けソフトを作る部署を1つにしたことで、社内のソフト開発チームをかなり自由に編成することができた。

ソフトのラインナップで意識したのは、各作品にしっかりと役割を持たせること。ローンチタイトルの『ゼルダ』と『1-2-Switch(ワンツースイッチ)』にもそれぞれ別の狙いがあった。

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