デートで「おごられたい」女性は実は少数派だ 男性の「プライド」が未婚化につながっている

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男性を見てみましょう。ソロ男は20代から40代以上にかけて一貫して賛成派が40%を超えています。反対派も20~25%台で推移しており、あまり変わりません。既婚男性は30代で賛成派が減少しますが、40代以上では賛成派が増加。反対派は年代を追うごとに減少し、40代ではたった8%です。いずれにしても未婚・既婚にかかわらず、「男性がおごるべき」賛成派は女性より男性のほうが多いのです。

要するに、「男がおごるべき」というのは女性の希望というより、男性側がとらわれている価値観といえると思います。これは「男が稼ぐべき」「男が養うべき」という古い「男らしさ規範」に、男性が相変わらず潜在意識下で支配されていることを示しています。男性の懐事情は別にしても、男とは女性におごることで自尊心を満たしたいという思いがあるともいえます。支払いの場面で、女性から「絶対に割り勘にしてください」と強く主張されたら、寂しさを感じてしまう男性もいるのではないでしょうか?

そういった意味で考えると、「男がおごるのが当たり前だ」と最後まで強硬に主張した座談会での2人のソロ女の意見は、「男らしさ規範」に支配されている男性の達成感を満足させるものだともいえるわけです。絶対的経済力という条件は別として。

意識と行動が一致していないソロ男

ちなみに、2017年1月4日配信の「『告白は男からすべし』は女の願望に過ぎない」という記事の中で、「自分から能動的にアプローチしたり、リードできる男は3割にも満たない」というお話をしました。そのくせ20~30代のソロ男たちに限ると、なんと67%も「告白は男からすべきだ」という見えざるプレッシャーに支配されています。

つまり、意識と行動が一致していないのです。ソロ男は、「男が告白すべき」という強い規範意識に縛られ、結果「面倒くさい」→「告白しない」→「結婚しない」という道筋を進んでしまいがちです。この構造は、「男がおごるべき」問題と酷似しています。

いずれにせよ、「男がおごるべき」なのか「対等に割り勘であるべき」なのか、どちらが正解ということはありません。男性も「おごらなくちゃ」と気負う必要もないのです。2人の関係性の中で両者が心地よい落としどころを発見していってほしいものです。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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