「民主村」徹底破壊があぶり出す中国の暗部 監視と密告に住人たちは口をつぐんでいる
[烏坎村(中国広東省) 10日 ロイター] - かつて「民主村」と呼ばれた中国南部広東省の烏坎(ウカン)村だが、今では、あらゆる幹線道路に設置された監視カメラが住民の動きを見張っている。
住民によると、あちこちに当局の密告者がおり、数十人の村民が刑務所や拘置所で厳しい獄中生活を送っている。
運動を主導したリーダーを投獄
この村は2011年、草の根運動によって民主的な選挙を中国当局に認めさせたことで、世界的に知られるようになった。しかしその後、当局が土地強制収用を巡る抗議運動を制圧し、運動を主導したリーダーを投獄した。それから1年経てもなお、息詰まる厳重な監視下にある。
ロイター取材班は今回、この村を訪問する貴重な機会を得た。村民数人と村の現状に詳しい関係者とのインタビューを通じて、烏坎村とその周辺一帯に敷かれた厳戒態勢と、何としても治安維持を図ろうとする中国政府の強硬な姿勢が浮き彫りになった。
かつてメディアを温かく歓待していた村民たちが、いまでは報復を恐れ、口を開くものはほとんどいない。
「この村にはもう何も残されていない」と村の若い男性が語った。神経質な様子で、長く言葉を交わそうとはしなかった。「何が起きたか知っているだろう」と言い残すと、彼は足早に立ち去った。
関係筋によると、100人の専属職員を擁する「烏坎村の大規模作業部会」が省レベルで設立された。密告者やパトロール部隊を組織し、監視カメラや投光照明を配備することにより、村の「安定」を維持しようとするものだ。