大流行「リビング学習」は"諸刃の剣"である やり方次第で学力が下がることも

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以上がリビング学習でのいちばんの注意点ですが、もう1つ大切なことがあります。それは、子ども本人の意思を大切にするということです。というのも、一口に子どもといっても実にいろいろで、子どもによっては静かなところで1人でやりたいという子もいるからです。

小学校高学年になるにつれて、自分の部屋で勉強したほうが落ち着くという子は増えます。でも、少数派ですが低学年でも1人のほうがいいという子もいます。逆に、中学生や高校生でもリビングでやりたいという子もいます。計算や書き取りはリビングで、算数の文章問題や日記は自分の部屋で、というように使い分ける子もいます。そういった本人の意思を無視して、「リビングでやりなさい。そのほうが学力が上がるから」と強制するようなことをすると、子どものやる気は失われます。

場所をコロコロ変えるが…

ところで、勉強の場所に関して、講演の後の質疑応答で次のような質問を受けたことがあります。「うちの子はその日の気分によって、自分の部屋、リビング、テラスのテーブル、階段のいちばん下など、勉強する場所を変えます。漢字はダイニング、算数はテラス、通信教材は階段などと、コロコロ変えることもあります。これで勉強が身に付くのでしょうか?」。それで私は次のように回答しました。

「まったく大丈夫です。場所を変えることで気分が変わり、集中できるということもあるからです。私も家で調べ物をしたり原稿を書いたりするとき、場所を変えることがよくあります。それどころか、講演や取材で移動することが多いので、新幹線や在来線の中、駅の待合室、講演会場の控え室など、あらゆるところでパソコンを開いて仕事をします。むしろこれができないようでは大人になってからやっていけないのです。また、最近の心理学によると、場所を変えて勉強すると勉強内容と勉強場所がリンクして、後で思い出すきっかけになることがあるそうです(ベネディクト・キャリー著『脳が認める勉強法』参照)」。

このときの回答にさらに付け加えるとしたら、次のように言いたいです。「受験のときは初めての場所で試験を受けるわけですから、いつもと同じ場所でないと集中できないということでは話にならないわけです」。

でも、最後に念のため言いますが、同じ場所で勉強したがる子に、「それじゃ受験で通用しないから、いろいろな場所でやりなさい」などと言わないようにしてください。何事にも言えることですが、親は外からの情報を優先して肝心の子ども本人の内側の意思を無視し、その結果うまくいかなくなることが多いのです。どうか気をつけてください。

親野 智可等 教育評論家

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おやの ちから / Chikara Oyano

長年の教師経験をもとにメールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。読者数は4万5000人を超え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』など、ベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。全国各地の小・中学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。ブログ「親力講座」もぞくぞく更新中。講演のお問い合わせとメルマガ登録は公式サイトから。Xで毎日発信中。

 

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