近づいてはいけない「NG就活塾」の3大特徴 本当に「役に立つ就活塾」を見極める方法

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特徴2:リーダーシップにフォーカスしている

今後の労働市場は、知的・創造的業務か、体を使った業務に二極化していくといわれています。また、さまざまな企業において他社との合併や協業(コラボレーション)を担う業務が世界的に増加すると見られています。

そうした環境を先取りし、適応するために欠かせない力としての「リーダーシップ力」が、さまざまな企業で問われています。つまり、今後は従来にも増して、企業の採用選考の場面で「リーダーシップ」が問われると考えられます。企業の採用選考において、インターンシップでの職場体験やグループディスカッションが増加していることも、こうしたマクロな経済環境の変化と無縁ではありません

したがって、小手先の「○○の書き方」や「○○の仕方」を教えることに、それほどの意味があるとは思えません。問題や課題を深掘りすると同時に、新しいアイデアを創造し、計画的に目的や目標を達成するためにチームをリードできる力、すなわち一言で「リーダーシップ」を養える塾が、より本質的な「就活塾」といえます。

特徴3:相互作用にフォーカスしている

PBL(Project-Based Learning」)(課題解決型学習)の必要性が日本でも叫ばれ始めてから、はや十数年が経過しました。PBLはさまざまな教育現場で取り入れられ、生徒の学習意欲の向上や新しいアウトプットを生み出すうえでの有効性が高いことが検証されています。

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一方、日本のマンモス大学の多くでは、PBLの導入はゼミ・研究室内での教育に留まっているところが多いものです。その有用性は理解しているものの、教員の絶対数の不足や教員にかかる負荷が大きいからです。そのため、いまだに多くの時間が大教室での一方的な講義に費やされているのが現状です。

私は、大学受験塾が一般化した背景には、高校教育では満たされない教育を満たそうと、受験塾が不断の努力をしてきたことにあると思っています。そうでなければ、受験生が自分の実力を向上させたいと思っても、実際に塾で実力が向上するはずはありません。

企業が学生に求めている力は多種多様ですが、その多くは、チームメンバー相互の議論や触発を通してこそ養われます。そのため、有用な塾は、学生同士のチーム内の相互触発のしくみを導入し、企業が求める力の涵養に努めているのです。

どんなサービスでも、質にはバラつきがある

就活塾は、結局のところ「サービス業」です。その「質」にバラつきがあるということは、あらゆるサービスに共通することでしょう。

まして就活塾は、まだ誕生して間もない産業です。そのため、その「質」のバラつきは、歴史のある受験塾よりも大きいと考えられます。

だからこそ、「就活塾=悪」と決め付けるのでもなく、また「就活塾=役に立つ」と妄信するのでもなく、学生の皆さんが冷静に、その「質」を判断する目を養っていただきたいと思っています。

廣瀬 泰幸 オールウェイズ代表取締役

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ひろせ やすゆき / Yasuyuki Hirose

岐阜県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。株式会社リクルートに入社。15年の勤務期間中に大企業からベンチャー企業まで1000社を超える企業の採用と人材育成を支援。その後、1部上場企業の人事部採用責任者として年間500人の採用と人材育成を行う。2003年、有限会社ヒロウェイ設立。2004年より、株式会社リンクアンドモチベーションの講師として、主として大企業の1万人を超える社員に教育研修を実施。2010年、株式会社オールウェイズ設立。以降、1000人を超える学生に就活コーチングを実施。twitterアカウントは@tender_coach

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