「野蛮人」による支配を許したイギリスの末路 スキャンダルが日常化、EU離脱も進まず

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同じ週には、プリティ・パテル国際開発大臣が、外務・英連邦省や首相にも無断で、イスラエルの大臣との一連の会談を行ったことを隠していたことが判明し、辞職に追い込まれた。パテル国際開発大臣の後継者、ペニー・モーダント氏は彼女のように熱心なEU離脱支持者でなければならなかった。もはやメイ首相には、能力ではなく、調整弁となる人物を選択する自由しか残されていないのである。

同首相が弱い立場にあることは明かだ。この状況は、労働党に事実上敗北して以来ずっと続いている。新たな貿易関係を構築しながら数百の規制や法律を取り除くこと、金融街シティからの金融企業の流出を食い止めること、既存の投資を維持し、新たな投資を引きつけること、独立に向けた別の国民投票の実施をちらつかせ続けるスコットランド国民と対峙すること――といった膨大な仕事は、強い立場と信頼がなければできないのに。

浮上するメイ首相の後任の名前

現時点で明確に見通せるものはない。が、同首相の立場が弱いということだけはハッキリしており、誰がメイ首相の後任になるか、という予想ゲームは日常化している。最も有望なのは、元ジャーナリストのマイケル・ゴーヴ環境省担当大臣だ。賢く機敏で、熱心なEU離脱支持者だが、メイ首相が直面しているのと同じつらい問題を受け継ぐことになる。

保守党が信任投票で、庶民院(下院)のごくわずかな得票差を失うことになれば、現在の世論調査の数字では極左の労働党が支持されているので、新たな選挙が求められるだろう。英国はこの選挙のとき、以前よりもさらに徹底して分断されることになるだろう。

これは別名、民主主義として知られている野蛮人のルールだ。民主的な世の中で、数千万人が不安感、所得の停滞、大量移民の恐怖を、そして時にはこれらのすべてを体験している。国民が野蛮人に賛成投票することを選んだのだ。なぜなら文明人は彼らの面倒を見てくれなかったし、少なくとも対応しなかったからである。

この結果がひどく不快で、危険だとしても、民主主義の国々が基本としているルールでは、こうした票を尊重しなければならない。そのうえで勝つことが文明の望みなのだ。それは野蛮人たちの中にあってもそうなのである。

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