「この世の終わり」を思わせるイギリスの日常 もはや「悪いニュース」しか出てこない
先日、朝7時のBBC ニュースで8つのニュースが放送されていたが、その一つひとつがイギリス国民の日常に蔓延する絶望を感じさせる内容だった。初めのニュースは、北朝鮮の弾道ミサイル実験成功と、それに対するアメリカの「戦争も辞さない」という反応によりもたらされた世界的な脅威だった。
世界規模での最終核戦争の話題を取り上げたあと、ニュース速報は、イギリスの国家的苦難のニュースへ次々と進んでいった。
「怒り」がイギリス国民の基本反応に
それらはこのような内容だ。
BBCのレポーターが「これよりひどいものはまずないだろう」と言ったハラスメント被害者支援に失敗した警察に対する調査結果、グレンフェルタワー火災で、大災害の責任があるとされる関係者たちを1人も逮捕しなかった警察に対する生存者からの告発、予想されている公共セクターにおける賃上げ率を1%に制限する政府の決定について、そして警察の失敗に対する別の申し立て。今回は数年にわたる人種差別的虐待の末、殺されたイギリスのイラン人難民ビジャン・エブラヒミさんの保護に関する失敗だった。
また、サウジアラビアによるイギリス国内でのテロ支援に関する政府報告が抑制されたことへの非難や、ほとんどの学生が約5万ポンドの負債を抱えて大学を卒業し、ほとんどの人がそれを返済できないというニュースもあった。
これに続くスポーツニュースは通常、イギリスがとてもスポーツ好きの国ということもあって、元気が出るようなニュースであることが多い。しかし、この日は違った。イギリス自転車界のスター選手の1人、マーク・カヴェンディッシュがツール・ド・フランスで落車によりリタイアしたのだ。イギリスのプライドが保たれるかどうかは、アンディ・マリーのウィンブルドン優勝にかかっているようだが、今期調子がいまひとつの彼には難しい挑戦だ。
今、イギリス人の多くが何かに対して基本的に示す反応は「怒り」だ。ケンジントン・アンド・チェルシー区議会が建築物の断熱材や防火扉改善のための資金を出し惜しんだという (予備的) 証拠があったグレンフェルタワー火災のケースのように、時として、このような反応は正当化されるように思える。