英国のEU離脱で開いてしまったパンドラの箱

欧州各地で広がる反移民感情の行き先

昨年10月、移民受け入れ施設への移動が始まった際のフランスの様子(写真:Neil Hall/ロイター)

英国が欧州連合(EU)を脱退する決意を表す言葉「Brexit=ブレグジット」は、英国以外の世界にも大きな影響を与えるだろう。英国のEU離脱が及ぼす影響は、主には英経済に対するものであるかもしれないが、既存のEU加盟国もそれなりに巻き込まれるに違いない。

英国内には、少なからず疑惑が渦巻いている。それは欧州大陸のエリート層が、英国人が現在陥っている混乱――過去44年間確立してきた貿易、法律システム、金融・政治的関与を分離することで生じる複雑な問題を嫌々ながらも受け入れようとしている――を楽しんでいるのではないかということである。

英国のように他国から傲慢だと見られている(少なくとも英国のエリート層はこう見られている)国がトラブルに巻き込まれているとき、実はその国と親密な国ほどひそかにこの状況を楽しんでいるのではないかということである。結局私たちは、貿易や国の成長においてばかりか、自国のイメージにおいても競い合っているのだ。

不満は英国内に収まらない

しかし、他国も「シャーデンフロイデ(ドイツ語で、他人の不幸や失敗を喜ぶ気持ち)」に浸っている場合ではない。ほとんどの欧米諸国がいまや度合いは違うにしても、同様の問題に直面しているのである。そして、こうした問題こそ、昨年のEU離脱をめぐる国民投票の際、過半数を超える人が離脱を選ぶ理由となった。

これらの問題――移民、テロの恐怖、国家主権をめぐる争い、難民を抱えた民族としての独自性、地域団結の欠如――は密接につながり合っている。そして、この概念はEU離脱を支持する陣営による「支配を取り戻せ!」という言葉に集約されている。

この概念がイギリス海峡でとどまる気配はない。来年にはEU離脱の同義づけとなった同じ不満から、EUとそれぞれの加盟国により圧力がかかるだろう。そして遅かれ早かれ、民主主義においてこのような不満は、政治的活動に発展するに違いない。

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