iPhone導入より熱い!?ドコモのベンチャー支援 さながらマネーの虎!携帯王者の意気込み

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プログラムを指揮する秋元信行副社長。米国での投資経験をもとに、参加チームにアドバイスを送る

ドコモがベンチャー支援に乗り出すのは、本業である通信事業以外で、付加価値サービスを広げるためだ。国内の携帯電話契約数は現在も伸び続けており、従来型の携帯電話から、より高価なスマホへの移行も進んでいる。

ただし、いずれも数年内に鈍化していくのは必至だ。そこで、ドコモは金融・決済、ヘルスケア、M2M(機器間無線システム)、ネット通販など、新分野のサービス収益で2015年度までに1兆円を目指す構想を掲げている。独自のサービス開発を進めつつ、ベンチャー支援を通じて画期的なアイデアを育成したり、有望なサービスに出資していくことで、新たな収益源を模索しているのだ。

こうした事情はライバルも同じ。KDDIは11年から同様の支援プログラム「∞Labo(無限ラボ)」を始めており、最近、第5期の参加チームが決定したところだ。卒業チームに開発の一部を委託するなど、支援の枠組みも毎回進化させている。プログラムの“先輩”である無限ラボはドコモにアドバイスを送るなど、協力する面もあるという。

サービス発表会は真剣勝負の“マネーの虎“

現在、プログラム参加チームは、サービスの発表会である9月26 日の「DEMO DAY」に向けて最終調整に入っており、プレゼンの仕上げなどに力を入れている。というのも、DEMO DAYは単なる発表会ではない。国内外から訪れる多数のVC関係者にサービスの将来性をアピールできる絶好のチャンスなのだ。

有望と判断されれば、出資や支援を受けられる可能性も広がる。「これから重要なのは資金調達とユーザーの獲得。出資したいと思ってもらうことはもちろん、ユーザーにもアピールできるプレゼンを意識してほしい」(秋元副社長)。余談だが、当日はKDDI・無限ラボの江幡智広ラボ長がゲストとして駆けつける。通信事業のライバルとしては異例のゲストだが、イノベーションビレッジに対して何を語るのか、こちらも楽しみだ。

プログラムの本格始動から約5カ月、イノベーションビレッジの支援を受けたチームは、VC関係者からどう評価されるのか。第1期生から早くも世界に羽ばたくチームは現れるのだろうか。真剣勝負のステージはもうすぐだ。

後編では、サービス発表会を間近に控えた3チームのCEOインタビューを掲載する。サービスの狙いから将来の展望まで、若いチームの意気込みを感じ取ってもらえれば幸いだ。

※この記事は、プログラム参加チームのインタビューを掲載した後編に続きます(近日公開予定)

(撮影:尾形 文繁)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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