5兆円売る「独身の日」に見る中国攻略の活路

日本企業が中国で成功するための戦略とは

なぜならば、中国消費市場では、商品の売り上げと知名度の関連性が極めて高い。高い宣伝費を出さないと、この市場で戦うことは不可能に近い。そして、自社商品の潜在ユーザーを13億人から見つけ出すことも海に落とした針を探すことと同様に困難だ。一方、日本に来る中国人は、少なくとも「日本」に関心がある人たちであり、「日本企業の商品」の潜在顧客といえるだろう。

また、ホーム(日本)に来てくれているため、中国国内にいるように他国ブランドと戦わなくて済み、高い宣伝費を出さなくても選ばれる確率が高くなる。そして、来日中なので、そのまま体験をしてもらえるし、企業も比較的安価な調査費用で商品に関するホンネを聞くことができ、実際の商品改善や宣伝ポイントがわかる。

観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によれば、中国の場合、いちばん多く日本に訪れているのは20~30代の若者であり、中国の越境ECの主力軍でもある。来日前にアプローチし、訪日中によい体験をさせ、日本にいちばん関心を持つ彼らの心をつかまえ、彼らに越境ECを通じてリピーターになってもらうことが期待できる。それだけではない。巨大な影響力を持つ「口コミ」で越境ECユーザー全体での人気を向上させることも期待できる。

実際、上記のKATEの化粧品、カルビーのお菓子やフルグラ、または定番のおむつ、携帯魔法瓶、あるいは高価格の美容機器やサプリメントなど、越境ECで人気商品はインバウンドの人気商品とほとんど一致することからもわかる。

さらに大きなビジョンとは

日本企業が直接中国国内に進出し失敗した例はよく聞く(成功した会社も多々あり黙っているだけだが)。失敗原因は中国での認知度が低く、かつ中国国内の消費動向を徹底的に把握することができなかったことが大きい。日本旅行が定番化してきた今、日本滞在中の消費だけを狙うのではもったいない。

さらに長期的な視点からみると、インバウンドで日本に関心の高いイノベーターの顧客をつかみ、その口コミで、越境ECで商品販売を拡大し、販売を通じ収集した顧客データを分析し、最終的には、13億人の中国国内ECないし店舗販売というプランを視野に入れるのは不可能ではない。日本国内市場が縮小しつつある今、隣国である中国への進出を考えなければならない。

W11は1つのイベントにすぎないかもしれないが、1年で最も売れる日である「W11キャーンペーン」を通して顧客を増やし、しっかり分析し、何が売れそうか、どうやって売っていくべきかを考えて実践することが必要だろう。

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