無印良品が中国人の若者を魅了する深い理由

若者が抱える矛盾を解消できる「価値」を提供

シンプルな洋服やグッズがそろう無印良品のショップ(四川省成都市)。中国の若者の心をがっちりつかんだのは偶然ではない(筆者撮影)

近年、中国市場から撤退する日本企業の話はよく聞くが、中国市場で成功した日本企業の話はあまり聞かない。

そのなかで、希有な成功例は無印良品だ。2016年2月期の連結決算では、純利益が217億円で過去最高となり、中期経営計画の目標売上高3000億円を1年前倒しで達成した。好調の東アジア事業の中でも中国事業の伸びが顕著で、すでに160店舗を展開している(日本経済新聞、2016/4/13付)。

著者がこれまでインタビューした中国の若者のほとんどは、「MUJI」に対する印象がよく、ブランドのコンセプトや製品のデザインを高評価している。最近、北京・上海・成都などの「MUJI」の店舗に行ったが、現地販売価格は日本の約2倍であるにもかかわらず、どの店舗もにぎわっていた。EC(電子商取引)化の進展で中国では多くの実店舗が寂れつつある中で、異例だろう。

今回は、なぜ、無印良品の製品(ファッション・インテリア・飲食・雑貨等)が中国人消費者、特に若者のココロをつかめたのか探り、彼らが日本企業に何を求めているのかについて明らかにしたい。

世代間で大きく異なるファッションセンス

中国では、世代によってファッションセンスが大きく異なる。

50代以上の人に無印の店舗の印象を聞けば、「数十年前農村でよく見かけた椅子と同じなのに数千元もするの?!」「古そうなシャツが一枚数百元もする?!」「カラフルな服を売る店の方が良い」と言うだろう。一方、20、30代の若者は、そんな親世代の考えに対し、「ダサいセンス」「ファッションをわかってない」と鼻であしらう。

日本の場合、娘が母親と服を交換したり、一緒に買い物に行くのはよくある話だし、おしゃれ男子も少なくない。そんなにファッションに気をつかっていなくても、ドレスコードや色の組み合わせなどに共通の美意識基準があるようにみえる。つまり、ファッションセンスの世代間ギャップはそこまで大きくはない。

なぜ、中国では世代の差がこんなにあるのか。そこには、歴史的な原因がある。

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