明治大「手厚すぎる」就活支援はここまでやる 「就職の明治」8年連続トップの秘密

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こうして見事、学生が内定を勝ち取ると「活動報告書」を書いてもらう。内定先では、どんなスケジュールでどんな選考が行われ、面接でどんなことを聞かれたか、といった内容を、A4用紙1枚のシートに残してもらっている。すべて手書き。中には、イラスト入りで書かれたものもある。これが年間2000枚ほど集まり、翌年以降に就活をする後輩たちに役立てられる。事務室の中に数年分が保管してあり、大学内のパソコン上でも検索して見ることができる。

学生の役に立ててもらえるのであれば、それでいい

「就職の明治」への大学関係者からの注目度は、実は極めて高い。就職支援についても、多くの大学がベンチマークしている。そして、いい取り組みは、どんどん他大学に広まっていく。最近の象徴的な事例は「就職活動手帳」だ。滝氏が言う。

「もともと就職のバイブル的なものをまとめたA4判の冊子を配っていたんです。でも正直、あまり魅力的なものとはいえなかったようです。配布した段階でパラパラめくって、それきり開かない、という印象でした。そこで、手帳の形式にしたら、学生も持ち歩くのではないか、と考えたんです」

こうして、学生に無償で配ったものとは思えない出来映えの、ビニールカバーがついた256ページもある手帳が生まれた。後半は就活のイロハが書かれているが、前半はスケジュール帳になっている。学生にも好評だったが、今はほぼ同じ手帳が、別の大学の名前のものとして出始めているという。滝氏は言う。

「真似をしてくる大学があると思っていましたので、気にしていません。ほかの大学でも、学生の役に立ててもらえるのであれば、それでいいと思っています。私たちは、さらに先のところを考えていましたので」

そしてもう1つ、「就職の明治」を支えているのが、OB・OGの存在である。充実した就職支援で自らお世話になったOB・OGだからこそ、現役学生を応援する意識は強いのだ。社会人を招く学内セミナーから人事担当者による模擬面接など多方面に及ぶ。

「後輩への面倒見は、本当に素晴らしいと思います」

取材で実感したのは、職員が何より一生懸命で就職支援の仕事を楽しんでいる、ということだった。これこそが、明治の強さの秘訣かもしれない、と感じた。滝氏は続ける。

「仕事は楽しいですね。別の職場に異動していった職員は、ここがやっぱり最高に楽しかったとみんな言います。何より目の前で学生さんが成長していく姿を見ることができる。企業に向けての活動でも、一生懸命やっていることが、目に見えて成果につながっていくことがわかる。それは、仕事の大きな醍醐味です」

ありがとうございました、と泣きながら内定報告に来る学生も少なくないという。この20年でブランドポジションを大きく変え、大学通信の調査で、いまや高校生からの人気ナンバーワンを誇るのが、明治大学。本気の支援による「就職の明治」の進化ぶりもまた、その理由の1つに間違いなくなっている。

上阪 徹 ブックライター

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うえさか とおる / Toru Uesaka

ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業。ワールド、リクルート・グループなどを経て、1994年、フリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広くインタビューや執筆を手がける。これまでの取材人数は3000人を超える。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品は100冊以上。2014年より「上阪徹のブックライター塾」を開講している。著書は、『1分で心が震えるプロの言葉100』(東洋経済新報社)、『子どもが面白がる学校を創る』(日経BP)、『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』(自由国民社)など多数。

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