「日本株はバブル」という人の根本的な間違い 「1989年の日経平均3万8915円」から離れよ

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藤野:では、なぜ、個人投資家が売り越しを続けているのか、ということですが、過去30年の日経平均株価は、2万0500円あたりが天井でしたから、過去の経験則で動いている多くの個人投資家は、日経平均株価が2万円に達したところから売りに転じたわけです。

しかも、値上がりした保有銘柄を売却するだけでなく、下がったら儲けが出る空売りまで仕掛けている。そういう個人投資家が多いことから推察すると、マーケットは今、下げてほしいバイアスが非常に強まっていると思います。

でも、残念ながらそういうときほど、株価は下がらないものです。ちなみに、日本株を組み入れて運用している投資信託も、解約増になっていますから、基本的に売り越しです。根本的に相場は予測できないものですが、今が下げにくい環境にあるのは事実です。

企業価値だけでなく、物事の本質を見極める力がある。「草食投資隊」が個人投資家から支持されている理由はここにある(左からセゾン投信の中野晴啓社長、レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長兼CIO、コモンズ投信の渋澤健会長)

大勢の人が焦りだしたらいったん天井に

渋澤:ゴルディロックス相場(適温相場)などといわれますが、でもゴルディロックス相場も最後は崩れます。

藤野:最終的には景気動向でしょうね。景気が壊れれば株価は下がります。でも、長期的に考えれば、また戻りますから、それほど株価下落を恐れる必要はないでしょう。

渋澤:そうですね。長期投資は株価が下がることを前提に考えるくらいでちょうどいいのかもしれません。それに、下げ相場は積立投資をするには絶好のチャンスともいえます。

中野:私は米国のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物価格とハイイールド(高利回り)債のリスクプレミアムをつねに注視しています。両者の値動きは基本的に連動しているのですが、今はハイイールド債のリスクプレミアムが上放れした状態です。つまり、ハイイールド債が買われすぎています。これがちょっと怖い。だから、今の株高に対しては、やや警戒感を持って見ています。

渋澤:おそらく、この株価上昇に乗れていない投資家が結構いると思うのです。だからショートカバーで株価が押し上げられている。これで、大勢の投資家が「ああ、もっと株価が上がるかもしれないから、早く買わなきゃ」などと焦ったときが、上昇相場の最終局面なのだと思います。

草食投資隊 渋澤 健、中野晴啓、藤野英人

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そうしょくとうしたい

コモンズ投信会長・渋澤 健、セゾン投信社長・中野晴啓、レオス・キャピタルワークス社長CIOの藤野英人の3氏で結成。根底には、「長期投資を根づかせたい」という3人の熱い思いがある。「草食投資隊」という名前は、投資=肉食系というイメージが一見つきまとうが、本質は違うのではないか、という3人の共通の考えによる。

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