渋澤:世界的に経済は堅調ですしね。
中野:そうです。世界経済は今、好循環サイクルに入っています。中国やブラジルなど新興国の需要が高まってきて、それが先進国の景気にプラスの影響を及ぼしています。南欧諸国の債務危機で苦境に陥っていた欧州経済も、昨年に底を打ち、今は成長サイクルに入っています。それを証拠に、金融についても出口戦略が模索されるようになってきました。今、ECB(欧州中央銀行)の出口戦略は、むしろ景気や株価にとってプラス材料です。
ただ、日本に関しては、まだ出口戦略を採れる状況にはありません。今の金融緩和をやめれば、かなり厳しい状況になるでしょう。消費者物価指数が安定的に年2%上昇するまでは、出口戦略を採ることはできません。米国は金融正常化に向けて金融引き締めを行っている最中で、欧州はこれから出口戦略に向かう局面ですが、それでもまだ高金利というには遠い状況ですから、グローバルに低金利が続いているという認識は、まさしくそのとおりだと思います。
先に崩れるのは、米国のハイテク成長株?
渋澤:実体経済にふさわしい株価上昇ならバブルではありませんが、おそらくユニコーン企業(時価総額10億ドル規模の新興企業)はバブルでしょうね。
中野:実体経済と株価は、必ずしも一致しません。米国の株式市場はこの1年、ハイテク系の成長株が相場を主導してきました。さすがにこの相場は長続きしないと思います。
藤野:投資家別の売買動向を見ると、個人は今、売り一辺倒です。つまり、今の株高局面でも、個人投資家はほとんど儲かっていません。
渋澤:それはデイトレーダーですか。
藤野:いえ。デイトレーダーというよりも、昔から株式投資をしている普通の個人投資家ですね。今、個人投資家は「売りの一手」で、外国人投資家は買いの一手です。
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