日本シリーズで敗れたDeNAが「得たもの」 ソフトバンクが優勝、下克上ならずも大健闘
まずは機動力。ソフトバンクが盗塁を6回企図して全部成功させたのに対し、DeNAはソフトバンクと同数の6回企図しながら4回失敗した。今季のチーム盗塁数39はリーグ最少、両リーグ11位。そのままの結果が出た。
象徴的だったのは福岡 ヤフオク!ドームで連敗して本拠地・横浜スタジアムに戻った第3戦だ。初回、1番の桑原将志が四球を選び、今シリーズ10打席目にして初めて出塁しながら、続く梶谷隆幸の2球目に走ってアウトになる。
ベンチからはランエンドヒットのサインが出ていた。いずれも走者は投球と同時にスタートを切るが、どんな球でも打たなければならないヒットエンドランに対し、ランエンドヒットはストライクだけ打つという作戦だ。
だが、梶谷は外角のストライクに手を出さず、桑原の単独スチールという形になった。捕手の髙谷裕亮がこれ以上ない送球でタッチアウト。気の毒な結果となったが、桑原はそもそも今季21回走って11回失敗と盗塁成功率が5割に届かない1番バッターだった。
これまた四球で出塁した梶谷は3番ホセ・ロペスのときに盗塁のサインが出ていたのにスタートが切れず、じっくり打たせるべき4番・筒香の初球に走って失敗する。ダブルミスでチャンスの芽を潰し、立ち上がりの制球に苦しむ武田翔太を助けてしまった。
大一番の仕掛けは不発
今季のDeNAは盗塁もさることながら犠打も少なかった。12球団最少の84。今シリーズでは送りバントを7度決めて3度得点に絡めたが、10度決めて5度得点に結び付けたソフトバンクには及ばなかった。
盗塁と犠打が少ない代わりにエンドランを多用するわけでもない。1、2番がなんとか塁に出て今季打点王のロペス、昨季2冠の筒香、今季首位打者に輝いた宮﨑敏郎の充実したクリーンアップが打って還す。「不動」の攻撃が今季のスタイル。たまにしかやらない作戦を大一番で仕掛けても、うまくいくものではない。
走れる選手がいないわけではない。今季21盗塁のチーム走り頭、梶谷は2014年に今季のチーム盗塁数と同じ39盗塁で盗塁王に輝いている。今季リーグ最多の157三振を喫した粗さを併せ持っているが、機動力を生かすには欠かせない存在。今シリーズは盗塁ゼロ(失敗1)に終わった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら