日本シリーズで敗れたDeNAが「得たもの」 ソフトバンクが優勝、下克上ならずも大健闘

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ラミレス監督は桑原や倉本がどんなに打てなくても外さなかったように、「レギュラー」と決めた選手は信念を持って使い続ける。その分、控えの選手は出番が少なくなり、成績も上がってこない。今季のチーム代打成績は231打数36安打9打点。打率.156はリーグ最低だった。

レギュラーを信頼して起用する中で、代打、交流戦や日本シリーズでDHを任せられる打者をどう育成していくか。あるいは補強するか。これも今シリーズが教えてくれた課題である。

こんなに興奮した日本シリーズはない

「得るもの」をいっぱい抱えながら、現役で11回、監督で2回の13回目となる日本一に輝いたソフトバンクの工藤公康監督にこう言わせた。

「決まった瞬間は頭が真っ白で、日本一になったんだ、と。もう泣かないぞと思ったけど、苦しかったことが頭をよぎって涙してしまいました。現役時代を含めてこんなに興奮した日本シリーズはありません」

その工藤監督にもらい泣きしたという王貞治球団会長も「こんなに胸が熱くなったのは久しぶり。ここまで興奮したことは今までなかった。ベイスターズは試合をやるごとに強くなっていった。手ごわい相手だった」と振り返った。

年俸のいちばん低い球団がいちばん高い球団をそこまで苦しめたのである。

発展途上のチームの年俸が低いのは仕方ない。先発投手陣は22歳の濱口をはじめ石田健大、今永昇太ともに24歳。野手も桑原24歳、柴田23歳、倉本26歳…。筒香もまだ25歳だ。

一方のソフトバンクは投手が千賀滉大、武田翔太ともに24歳、東浜巨27歳、和田毅36歳。野手は内川35歳、松田34歳、柳田29歳、今宮26歳…。

ベテラン、中堅、若手がバランスよく混在する円熟の王者に対して、DeNAは伸びしろをたくさん残す若いチームなのである。

今シリーズで得た教訓を生かして「不動」の攻撃から脱皮し、守備の精度をどれだけ上げられるか。効果的なドラフト戦略で有能な人材を集めてきたフロントが、さらに上を目指していかに厚みのある戦力を整えるか。

すべてが絡み合って選手の年俸が上がったとき、ベイスターズはセ・リーグのチャンピオンとして日本一を争う舞台に戻ってくる。

(文中敬称略)

永瀬 郷太郎 スポーツニッポン新聞社特別編集委員

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ながせ ごうたろう

1955年、岡山市生まれ。早稲田大学卒。1980年、スポーツニッポン新聞東京本社入社。1982年からプロ野球担当になり、巨人、西武の番記者を歴任。2001年から編集委員。2005年に「ドキュメント パ・リーグ発」、2006年は「ボールパークを行く」などの連載記事を手掛ける。共著に『たかが江川されど江川』(新潮社)がある。野球殿堂競技者表彰委員会代表幹事。
 

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