始まった、グローバルリーダーの逆輸入 グローバル人事の「目」(第12回)

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そこで海外へ派遣する前に、国内の英会話学校などで、海外の人達との議論の進め方の基本を学ばせるなどの教育を行ってきた。しかし、経営者や人事が期待するレベルまではなかなか到達しない。

海外現地法人の候補者と同じ土俵で勝負させる

そこで、日本企業の経営者と人事は、日本人以外の海外現地法人の優秀な人材に着目し、日本人のグローバルリーダー候補と同じ人材プールに入れて育成することを考えた。海外と日本のグローバルリーダー候補を同じ土俵で勝負させ、育成を早めようというのだ。

日本の大手メーカーのH社は、海外現地法人で「優秀」と評価されたり、現地法人で要職を得たりしている人材の潜在能力やスキルを可視化することにした。この中からグローバルリーダーへの登用を希望する人材を選定し、日本で実施するグローバルリーダー育成カリキュラムに参加させている。

参加者は3カ月かけてH社のグローバル戦略を策定し、日本本社の経営陣にプレゼンテーションをしなくてはならない。参加者は日本人と海外のグローバルリーダー候補者の混合チーム。経営陣は交代でワークショップに参加して、指導・評価を行う。

このワークショップの目的は、現地法人のグローバルリーダー候補者の潜在能力やスキルのレベルを把握することと、グローバルリーダーにふさわしい人間的魅力があるかを経営陣が肌感覚で知ることである。ワークショップのやりとりは全て英語で行うが、経営陣には同時通訳をつけている。

H社がこの取組みを約3年実施した結果、2つの傾向が見えてきた。1つは新興国の人材のキャリア向上の意識とスキルは、先進国の人材とあまり差がないことだ。

先進国と新興国のキャリアアップの仕方は似ている。若手のうちはしっかり実務をこなしながら勉強し、有名大学院を卒業して管理職や経営幹部としての切符を得てから、グローバル大企業に幹部候補として入社し、より上位の職位へとチャレンジしていくのである。

次ページ国境をまたぐローテーションは難しい
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事