始まった、グローバルリーダーの逆輸入 グローバル人事の「目」(第12回)
新興国の選抜された人材も先進国のエリートと同じ思考・行動特性を持ち合わせているのである。当然人脈も現地の企業、官僚、政治家はもちろん、海外有名大学院卒業者として海外全体に広がっていることがわかった。
日本人の企業派遣の海外留学者は留学先で日本人中心に集まり、行動することが多いが、新興国の留学者は留学生の輪の中に溶け込んでいき、グローバルエリートの流儀と人脈を手に入れているのである。
実は国境をまたぐローテーションは難しい
2つ目は海外拠点のグローバルリーダー候補者は、祖国に残りたい人材が多く、国境をまたぐローテーションが難しいことだ。
たとえば、シンガポールの拠点リーダーは、H社本社の経営幹部になるというよりも、シンガポールでH社より有名で大きい会社の幹部になることを望むことが多い。ゆえにH社の日本本社の経営幹部への登用しようとしても、最終的にH社以外のシンガポールの会社に、有利な条件で戻れるなら数年間は引き受けるが、そうでないならば断られてしまうのである。
このような課題はあるにせよ、日本企業が海外現地法人まで視野に入れたグローバルリーダー育成を諦めることはない。日本人社員がグローバルリーダーとして、企業を引っ張っていけないならば、海外現地法人の社員をグローバルリーダーに育成するだけの話だ。
日本企業は、海外現地法人の社員の特性を以前よりもしっかり把握し、育成のノウハウを少しずつ積み上げている。海外現地法人の人材を現地のローカルスタッフとして活用するのか、国内外を駆け巡るグローバルリーダーとして活躍させるのか、グローバルエリートとして本社幹部にするのか。日本企業は、今までとは違った観点から人材を評価・育成するようになってきている。
(撮影:吉野純治)
※この連載は最終回となります。
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