自分の名前で食っていく「人類2.0」 藤原和博とスーパーIT灘高生が考える(下)
藤原: 村上龍さんの『13歳のハローワーク』(幻冬舎)ってあるじゃない? オレ、あの514の職業マップをつくる手伝いをしたんだけど、Tehu君は13歳のときにすでに数十万円が入ってきちゃった。この世代は、あの世界を完全に超えていると思うんですよ。
『13歳のハローワーク』はいまでも素晴らしい本だと思っているし、もちろん読んでほしいんだけど、あのなかにある、たとえば「アーティスト」とか「プロデューサー」とか「ディレクター」という職業名が、ほぼこの世代だと意味がなくなってきているよね。いろいろ融合している。
オレは今回、『必ず食える1%の人になる方法』のなかで、「お笑い」と「美容師」を組み合わせて「お笑い美容師」とか、2つを融合させることを提案しているんだけど、もうそれどころじゃなくて、3つ4つ5つを同時に走らせるような、そういうヤツらがあらわれてくる。
「あなたは何になりたいの?」と質問すること自体がナンセンスになってくるよ。
職業は「Tehu」、「藤原和博」はアバター
Tehu: ボク、最近、職業名を変えたんです。いままではその名刺にもあるように3つを書いていたんですが、フェイスブックでは職業を「Tehu」に変えました。会社名「Tehu」、職業「本人」と。
藤原: 名刺には「Digital Creator」「Producer」「Personality」と書いてありますね。
Tehu: それはTehuの中身です。
藤原: 古い分類なんですね。
Tehu: はい。パッと見てわかりやすいので、自己紹介用です。
藤原: オジサンを安心させるためには大事ですよ。さらに安心させるためには、本当は1つにしたほうがいいし、カタカナで書いたほうがいいんだけど、それはともかく、職業は「Tehu」だと。
Tehu: そうです。
藤原: すごくいいと思う。オレはね、「藤原和博」でやっているの。オレの場合、「職業」という言い方じゃなくて、「キャラ」とか「アバター」だと言っている。
「藤原和博」というのは実はひとりじゃなくて、後ろに150人ぐらいいるんですよ。で、150人ぐらいがゲームのコントローラーを持ってオレを動かしてくれているの。
オレが危ない世界とか、できそうもない世界に行けば行くほど、みんなが興奮して参戦してくれるでしょ。だから、エネルギーを集められる。個人の意思だけで動いているんじゃないんですね。オレの上司は「世間」だから。
ただ、そうはいっても、世間というのはやっぱり肩書きを求めるんだよね。ちょっと前までは「東京学芸大学客員教授」というのが便利だったんだけど、いまは一応「教育改革実践家」にしている。「教育評論家」と対比するためにね。
でも、「職業、Tehuです」ってのは新しいわ(笑)。オレはいっても「人類1.99」ぐらいだね。「2.0」からはもうお任せしますよ。
Tehu: がんばります(笑)。
(司会:佐々木紀彦、構成:上田真緒、撮影:尾形文繁)
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