「隠し事」ができない時代に勝てる会社の武器 どうしたらブランド力をつけられるか

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髙尾:商品のストーリーを語るうえでも、調達が変わることはカギになると思っています。たとえば、僕らのポリエステルのリサイクル工場はまだ動いていないけれども、すでに年間生産量の8割ぐらいの注文がある。それはなぜかというと、世界の大手アパレルブランドがたとえば「2030年までにすべての原料をサステナブルにする」というような宣言をしているからです。

ウィンストン:大企業がそういう視点を持っているというのは、世界の流れを変える大きな力ですね。彼らは調達元にとっての大きな顧客なわけですから、調達元も変わらざるをえない。

今その「一歩」を踏み出せるか

髙尾正樹(たかお まさき)/1980年生まれ。東京工業大学卒業後、東京大学大学院にて技術経営を専攻。同大学院中途退学後、2007年1月に現在代表取締役会長を務める岩元美智彦と日本環境設計(株)を共同で設立。専務取締役に就任。2016年から現職

髙尾:サステナブルな商品を生産するための技術開発に投資する企業も増えていきそうです。

ウィンストン:一方で現実として、「いちばん安く調達したい」という要求がなくなるわけではないんですよね。みんなサステナブルで、かつ安いものがいいわけです。

ウォルマートなんかは、世界でも最大級にサプライチェーンにそういうプレッシャーをかけている企業だと思いますが、彼らは「エネルギー効率の高い原料を使えば、コストも安くなるはずですよね?」というスタンスです。もちろんそういう場合もあるけれども、いろいろな事情でサステナブルな商品のほうが高くつくこともありますからね。

髙尾:ただそれでも事業をする中で、「将来安くなる見込みがあるなら、今は高くても買う」という企業は確実にいると感じています。いかにその可能性、つまり僕らが信じている世界を彼らに見せられるか。そこが大きな第一歩なのかなと思っています。そしてその第一歩を踏み出せると、ケタ違いの投資が集まると確信しています。

ウィンストン:そういう企業は「受け入れられること」の基準が変わっていくことを、ちゃんと想定しているのでしょうね。たとえば児童労働でできた商品が安かったとしても、今の私たちの多くはそれを受け入れられません。同じように製造工程において二酸化炭素の排出量や必要とする水の使用量が過剰に多い商品は、じきに受け入れられなくなるでしょう。企業はそれを無視できない。顧客に指摘されるまで古いストーリーのままでいたら、競合に後れを取ってしまうでしょう。

髙尾:僕らの顧客の多くはグローバル企業なんです。彼らはそういった潮流をとても重視していると感じます。

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