「隠し事」ができない時代に勝てる会社の武器 どうしたらブランド力をつけられるか

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髙尾:僕らのつくる原料を使う企業は、調達の安定だけではなく、ブランディングを意識している部分も大きいようです。彼らはこれからの時代、サステナビリティがブランディングに必要不可欠だと認識しているのだと思います。

ウィンストン:隠せない時代には、「商品のストーリー」を伝えることがカギになるでしょうね。どんな原料で、どうやって作られているのか。企業は、サービスと商品について完璧なストーリーを持たなければいけなくなってきた。消費者はもちろん、社員やコミュニティからも、そういったものが求められるようになってきているのです。

「隠さない」ことは難しくない

アンドリュー・ウィンストン(Andrew Winston)/プリンストン大学卒業後、コロンビア大学でMBA、イェール大学で環境マネジメントの修士を取得。ボストン・コンサルティング・グループで企業戦略コンサルティングに従事した後、タイム・ワーナーとMTVでの戦略マーケティング部門の管理職を経て、ウィンストン・エコ・ストラテジーズを設立。キンバリー・クラーク、HP、ユニリーバなどのサステナビリティ・アドバイザリー・ボードのメンバーを務めているほか、PwCのサステナビリティアドバイザーとしても活躍している(撮影:今井康一)

髙尾:ストーリーという意味では、2020年に東京で開催される国際的なスポーツイベントでは、皆さんから回収した携帯電話などから金・銀・銅のメダルを作るプロジェクトが行われています。

ウィンストン:私もスポーツ業界と仕事をすることが多いですが、大きなスポーツイベントでは特にサステナビリティが重視されてきているのを感じます。

髙尾:使われる資源やエネルギーも排出されるゴミの量も大きい分、企業としてはよい技術をお披露目するショーケースという側面もありますよね。

ウィンストン:スポーツ以外では消費財や食料品の業界からも、ストーリーについてのアドバイスを求められることが多いです。ある飲食業界大手のCEOは「よい商品というのは、かつてはおいしくて安全、それだけでよかった。今はそれに加えて責任ある原料調達、工場運営、流通管理……より複雑な説明が求められる」と言っていました。

ただ、私はビジネスがサステナブルなものであれば、そんなに複雑で難しいことではないと思うんです。マーク・トウェインの格言で「真実を語れば、あとはすべて忘れてかまわない」というものがありますが、そもそも語っても問題のないことをしていれば複雑に考えなくたっていいでしょう。

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