4億円を仮想通貨で集めたベンチャーの正体

新たな資金調達手法「ICO」の魅力と課題

ICOの市場は、株式市場のようにルールが整備されているわけではない。それゆえ、投資家は自己責任であることが原則だ。しかし、事業者としてそれで済ませるのか、積極的に健全化を実現するために動くのかは、価値観によって分かれている。

水澤氏は、「ICOをする側は、詐欺行為を排除する責任を投資家に負っているわけではない。逆に言うと、自主規制に全てが委ねられている。日本で大型のICOを先陣切ってやる以上、1つも詐欺被害を出したくないと考えていた。自己責任で終わりにしたら、この分野もニッチなままで終わる」と危機感を示す。

トークンの上場はオンラインのやり取りだけで完結

ICOが終了した後、アリスのトークンはCoinExchangeとCryptopiaという2つの海外取引所に上場し、流動性を得る形になった。「15の取引所にアプローチしたが、返信がないところもあった。トークンの流動性は、投資家を安心させるためにも重要」(安氏)。株式は取引所に上場するまでに長い道のりがあるが、ICOの場合はまったく異なる。トークンの上場は、取引所とのオンラインのやり取りだけで完結するというのだ。

上場にあたり取引所から求められる情報は、経営者のプロフィールやソーシャルアカウントの状況、ソフト開発に使う「GitHub(ギットハブ)」のURLなど、ごく基本的なものが中心。大手の取引所でなければ、プロダクトの中身やビジネスモデル、将来の見通しについては問われない傾向にある。取引所に支払う費用として、CoinExchangeは日本円で約50万円、Cryptopiaは約250万円が必要になったという。

CTOの石井氏は「(事業内容や資金使途を記載した)ホワイトペーパーを見れば、上場させてはならない詐欺的なICOかどうかは理解できるはず」と話す。ただ、やはりサービスが動いてもいない段階で流動性を持つということは、革新的ではあるが違和感を感じる面もある。

トークンにおける「上場」という言葉は、株式と比較するとまだあまりにも軽いというのが現実だ。投資対象の判断とする基礎となる実態がないため、やはり、購入する場合はそのサービスを純粋に応援し、自分が参加していく気持ちを基本にするべきだろう。

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