ダメ会社ほど上司の「上から目線」が鼻につく 風通しを良くするために必要な5つのこと

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社内の風通しが悪いという場合には、99%は、社長の責任であるということを、社長は心しておくべきです。おおよそ、ひとつの組織の問題は、「社長一人(いちにん)の責任」と言われますが、まったくそのとおりだと思います。風通しのいい会社・組織をつくるためには、まず、社長が上から目線で社員と接しないことが重要です。

2つ目に重要なことが「規則、拘束を可能なかぎり少なくすること」です。おおよそ、人間は自由でありたいという願望を持っています。その自由であるということによって、自分で自分の持って生まれた能力を、自分でも思いがけず発揮することができるわけです。民主主義が「自由」を、人間の基本的人権として認めるのはそのゆえんです。社員が、風通しがいいと感じるのは、この「自由」を感じるときです。

そういうことから、社員をできるだけ規則や拘束で縛らないこと、官僚的な繁文縟礼(はんぶんじょくれい)を廃すことでしょう。

「自由だ」と感じさせることが重要

そのためには、社長が、「方針(=基本理念+具体的目標+最終目標)」を明確に提示し、この方針に沿って活動しているかぎりにおいては、社員の自由にさせることが求められます。社員に規則や拘束、束縛を感じさせない、いや、むしろこの会社は自分の考えで活動できる、自由だと社員に感じさせる。そうなれば自然に社内は風通しがよくなると思います。

3つ目は、可能なかぎり、「役職、階層を少なくすること」。日本の会社は役職が多すぎます。どちらがどのような立場なのか、役割なのかわからない。部長がいて、副部長がいて、部長代理がいてとなると、誰に頼めばいいのか、役割の違いはどうなのか、また、会社によって内容が異なりますから、外部的にも大いに困ります。

ある大企業にはなんと40以上の肩書があるということです。もう「肩書のインフレ」「過の災い」としかいえない状態。これでは決済も時間がかかりすぎますし、また、意思疎通もそれぞれの「役割の壁」で遮られ、なかなか円滑に行き交うことはできません。社員も誰に確認したらいいのか、誰に相談したらいいのかわからない。わからないから、なんとなく、ものが言えない。心のなかで思い悩んでいるだけということになります。

ということからすれば、肩書というか、階層というものはできるだけ簡素にしたほうがいいと思います。以前、名誉会長、最高顧問、顧問、相談役、副会長などというポジションはやめたほうがいいのではないかと書きましたが、それだけでなく、副部長、部次長とか部長代理、あるいは課長代理、課長代行などは廃止し、簡素な階層や役割分担にすべきでしょう。

もちろん、それぞれの事情がありますから、一概には言えないとは思いますが、階層の多さが往々にして、風通しを悪くする一因であることは確かなように思います。

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