「上司に相談します」は生産性で見て致命的だ 「生産性が日本の1.5倍」ドイツ人に学ぶ
私がドイツで働いていた時のことです。
ある日、会社のポストに届いていた郵便物をオフィスまで持って上がって、「これ、届いていたよ」と秘書のデスクに置きました。私宛の郵便物があったので、気を利かせてほかの郵便物もすべてオフィスに持って行ったのです。
秘書に「ありがとう」とにこやかにお礼を言ってもらえるのかと思いきや、彼女は怒りました。
「これは私の仕事であって、あなたの仕事ではないでしょう」
これが、ドイツ人が認識するアサインメント(割り当てられた仕事)というものかと理解しました。
秘書にとっては、郵便物を持ってきてみんなに配るという業務がアサインメントに含まれているので、それが自分のやるべき仕事になります。それをほかの人が本人の断りもなくやってしまったら、越権行為になるのです。
私は慌てて、「ごめん、自分の郵便物があったから、ついでに持ってきたんだ」と釈明しようとしましたが、「ついでに」というニュアンスをドイツ語で表現するのが難しく、結局、平謝りするしかありませんでした。
私がドイツ人と一緒に働いてきた実感として、「ドイツ人は働きすぎない」人たちだと感じています。基本的に自分のアサインメントを遂行することには勤勉です。しかし、それ以上のことはあえて無理にやらないのです。
そして、このように「明確なアサインメントを意識すること」が、場合によって生産性を上げるためには重要なのではないか、と感じていました。
「働きすぎない」とはどういうことか
私は1985年から通算20年にわたり、ドイツで暮らし、ドイツ人と共に働いてきました。
ドイツはある意味で、日本ととても“近い”国です。地理的な距離は約1万キロメートルもありますが、国土面積はほぼ同じで、GDPでも日本が世界3位、ドイツが4位と、隣同士であることが多いのです。
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