40年前の欧州における非英語圏では、英語は現在ほど国際的な公用語として使用されていなかった。しかし、来るべき将来を見越して、メンバーもレコーディングの際に英語の発音に関しては細かなアクセント、ニュアンスを含め、徹底的に意識して歌ったと述べている。また、アルゼンチン、メキシコなどの南米での人気に伴い、ヒット曲をスペイン語で再録した作品も残している。そういったターゲットを絞った「言語対策」も、世界的規模で成功した要因の1つだろう。
さまざまな有名アーティストに歌い継がれている
2つ目は作品が有名アーティストや数々のトリビュートバンドに歌い継がれていったことが挙げられる。
1980年代の後半、アバは解散状態にあり、新曲のリリースもないため、数多いカタログ商品の中の1つとして扱われていた。
そんな中、1992年6月にイギリスの人気ポップデュオ「イレイジャー」が『アバエスク』というカバー・ミニ・アルバムをリリース。これがイギリスで5週連続No.1を獲得。そしてその年の9月にベスト・アルバム『アバ・ゴールド』がリリースされたことで、世界的な再評価につながっていった。要するにアバの楽曲の「衣替え」が行われ、それによって、オリジナル作品が再評価されるという現象につながっていったのだ。この『アバ・ゴールド』はこれまで全世界で約3000万枚以上売れており、現在でも売れ続けている。
そして、世界中でアバの曲を歌うトリビュートバンドの数もかなり多い。1988年にオーストラリアで結成された「Bjorn Again(ビョルン・アゲイン)」を筆頭に、現在では数十組にも及ぶトリビュートバンドが、当時の衣装を再現して、世界各国で連日ライブを行っている。
キャッチーでメロディアスなフレーズが多いアバの曲だが、フレーズのサンプリングの許諾に関しては厳しく、世界各国から多数の依頼があったが、許諾したのはこれまでわずか2つのみだ。R&Bシンガーのローリン・ヒルが所属していたフージーズの「Rumble in the jungle」(1996年)と、マドンナの「Hung up」(2005年)だけである。
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