もはや産業!「アバの解散後ビジネス」の秘密

解散から35年たってなお盛り上がる

スウェーデンのポップミュージック界は、1970年代のアバに始まり、1980年代のロクセット、1990年代のエイス・オブ・ベイス、カーディガンズ、最近ではザラ・ラーソンなど、つねにヨーロッパ諸国、アメリカで人気を博すアーティストを輩出し続けている。

その中にあって、アバは特異な存在だ。1974年にヨーロッパの国々から参加曲を募って行われる「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」でグランプリを獲得。その後、ヨーロッパだけではなく、アメリカ、オーストラリア、日本でも大成功した。

1982年に活動休止、事実上の解散状態になったが、その後1992年にベスト・アルバム『アバ・ゴールド』でブームが再燃。ロックと比べて、アバのようなポップスは下に見られがちだったのだが、ロックバンドのU2が、スウェーデン公演のゲストで迎えたアバの男性の元メンバーの前で「あなたたちは偉大だった!」と、頭を下げたシーンは衝撃的だった。

1999年にはアバの数々のヒット曲を取り入れた、娘の結婚式のために本当の父親を探すコメディミュージカル『マンマ・ミーア!』がイギリスでスタートして、これが大ヒット。その後ブロードウェイをはじめ、世界各国で上演されていった。日本でも劇団四季が上演していたので知っている方も多いだろう。

その後、クイーンの曲を使ったミュージカル『ウィー・ウィル・ロック・ユー』や、アメリカのシンガー・ソングライター、ビリー・ジョエルの『ムーヴィン・アウト』など、既成曲で構成される「ジュークボック・ミュージカル」が広がったが、すべてはこの『マンマ・ミーア!』がきっかけだったのだ。

2008年にはその人気がスクリーンに飛び火。オスカー女優のメリル・ストリープが母親として主役を演じた映画版『マンマ・ミーア!』が公開。製作費5200万ドル(約57億円)に対して、興行収入6億0980万ドル(約670億円)を上げ、当時のイギリスでは『タイタニック』をしのぎ、イギリス史上最高のヒット作品となった。日本でも大ヒットして、26億円の興行収入を記録している。

40年以上にわたって世界中で愛されるのはなぜか

さて、スウェーデンという、世界のエンターテインメントの中心ではない場所にありながら、アバの音楽はなぜ、40年以上にわたって世界中で愛され続けているのだろうか。彼らの音楽が「産業化」していった背景には、大きく分けて3つの理由があると、アバのビジネス関係者と親交が深い音楽プロデューサーの大越王夫氏は分析する。

1つ目はオリジナル作品を「スウェーデン語」ではなく、「英語」で歌ったという点だ。

「世界に進出するなら、自らの国だけしか通じないスウェーデン語ではダメだ!」

当時のマネジャー、故・スティッグ・アンダーソンは、結成当初からアバをインターナショナルな存在にすることを考えており、マネジメントに英語が堪能な女性秘書を雇用した。その女性が現在でも、アバの個々のメンバーのマネジメントを行っているヨレル・ハンサー氏。彼女はスティッグの下で、全世界の国ごとのディストリビューションをまとめ上げるというタフな仕事をこなした。

次ページ「言語対策」もヒットの要因の1つ
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • コロナショック、企業の針路
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 西村直人の乗り物見聞録
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激震! 不動産<br>大荒れ市況を徹底分析

コロナショックが直撃したのは、ホテルや大都市に立地する商業施設です。一方、郊外の商業施設や物流施設は需要増に沸いています。分譲マンションやオフィスビルの先行きには不透明感が漂います。不動産業界における明と暗。その最前線に肉薄します。