ドイツを悩ます難民積極受け入れのジレンマ 欧州では「反移民の風」が強まっている

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――なぜか?

つまり、難民受け入れを人道面から支持する人がたくさんいた一方で、「外からの人の流入を管理できないドイツ」に多くの不満を抱く人も相当数いたからだ。こうした人たちの声をくみ上げる政党が連邦議会にはなかった。

メディアもメルケル氏の受け入れ策を十分に批判しなかった。『シュピーゲル』は自分たちなりに批判はしたものの、当時湧き起こった強い高揚感にかき消されたのかもしれない。

受け入れ策の寿命はほんの2〜3カ月だった

――そうした高揚感はどれぐらい続いたのか。

『シュピーゲル』誌の10月14日号(ウェブサイトより)

2~3カ月ではなかったかと思う。年末にはすでに、メルケル首相はトルコと交渉を開始し、難民がドイツにやってこないように歩を進めていた(注:2016年3月、EUはトルコと移民の流入抑制について合意した)。

大規模な受け入れ策を実行したとき、メルケル氏は非常にうれしかっただろうと思う。しかし、この受け入れ策の寿命はほんの2~3カ月だった。門戸開放策を提唱しながら、その裏では流入減少に動いていた。また、ドイツに向かう難民たちに対し、バルカン諸国が国境を閉鎖し始めたときも、表向きには批判していたけれども、ドイツへの流入数が減ったことが政権にとっては好都合となったことを認識していた。

こうして、2016年以降、流入数があっという間に減少していった。今はリビアを通ってくる難民が多いが、その数も減少している。それはEUがリビアの沿岸警備隊と取引をしたからだ。2015年9月の門戸開放策は今、ガラリと変わった。

――ドイツ国民の難民に対する態度は変わったのか。

誰に聞くかで異なる。旧東ドイツでは不安感が強い。27年前に政府が崩壊した記憶がある。難民がドイツを変えてしまうのではないかと危惧している。人種差別の感情もある。これは否定できない。

全体としてはまだ好意的な感情がある。しかし、国民感情に大きな影響があったのは、2015年の大みそかにケルンで発生した集団暴行事件だ。暴行事件の実行者はアフリカからやってきた男性たちではなかったかもしれない。また、2015年にやってきた難民ではなかったかもしれない。しかし、「政府は管理能力を失った」と受け止められてしまった。

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