シェルはスキャンダルをどう乗り越えたのか

アイコン化した強い組織の研究<4>

1964年のシェルのアンモニアゴム用貯蔵タンク
本記事は『アイコン的組織論』(フィルムアート社)からの抜粋。同書に掲載された「アイコン化した強い組織」の知られざる秘密について説明されている箇所を5日連続で紹介する。第4回はシェルの強さの秘密について解説する。

石油・ガス開発の限界に挑む

1890年に、オランダの銀行員、ビジネスマン、元植民地の役人の集団が、スマトラの石油開発を目的に、石油開発資源のためのロイヤル・ダッチ・カンパニー(Royal Dutch Company for the Exploitation of Petroleum Sources)をオランダ領東インドに設立した。

いくつかの石油資源の発見で、会社は急激に成長し、販売組織がつくられた。1907年にはシェル・トランスポートと、トレーディング・カンパニーという数年前に世界初のオイルタンカーMurexを実用化した、石油業界のパイオニアの1社が、事実上合併した。

ロイヤル/シェルグループは協力し合い、ロックフェラー所有の強力なアメリカの石油王、スタンダード・オイルと競えるようになった。合併により、社は石油やガスをより厳しい状況下でつくり、さらに世界の遠隔地から採取したいと考えた。そしてのちに、収益ベースで世界最大級の上場会社に成長している。元CEOのイェルーン・ファン・デルフェールは100年後にこう言っている。「シェルはいつでも新しいことを試し、限界を押し広げようとしてきました」。

新しいことを試したいという望みが生み出した、革新のリストは長い。例えば1920年にシェルは、初めて地下構造を図にし、2D耐震工学を用いて推定石油量を特定した。

1947年には、メキシコ湾で初めて商業的に海上で石油を採掘した――その後2、3年間でシェルはメキシコ湾に何百という油井を設置している。1964年、同社はガスを液化し、海外に運搬する技術を開発するのに、重要な役割を果たした(現在でも、シェルはこの液化天然ガス、LNG周辺の開発で主要な役割を担っている)。1970年代には、シェルは北海での油田開発に初めて成功したうちの1社となった。海上という場所、海底の不安定さ、予測ができない天候などで難しいとされていた事業だ。

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